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『そうだな。言うとおり、戦わなくてもいいんだと思う。誇りしかないとはもう言わないし、戦場以外に居場所がないとも、もう思わない。……けど、戦わないと行きたいところに行きつけないし、……それ以上に自分に恥じるようには生きたくない』

 

秘された皇女、フレデリカの存在があれば、戦争を終える事が出来る。

勿論そのためには、秘匿司令部の発見が求められるのですが……

シンが1人で抱え込まずに、エルンスト達に情報共有してくれてたのは良かった。

可能な範囲で情報漏洩しないようにしてはいるようですが、コレが破たんの切っ掛けにならない事を願います。

参謀長とアネットの会話が不穏で気になるんだよなぁ……

 

さて。前回シンの告白に、レーネは口づけを返したものの、明確な返答はなく。

オマケに、折悪しく講習等のスケジュールの問題で1か月ほど別れ別れに。「おれはそろそろ、少しくらい拗ねてもいいんじゃなかろうか」という地の文が可愛い。

いやぁ、シンが本当に人間らしくなってきた、というか。過去に囚われていた彼が、未来を見られるようになったのは本当にめでたい。

 

告白直後にレーネに逃げられ、混乱していた状態を目撃されたせいで、周囲にもバレバレと言うのがまた、緩い空気を生み出しています。

作戦開始前の時点で、ついにシンがレーナの〈ツィカーダ〉を知った場面とか、いつも以上にコミカルな雰囲気があったように思う。

 

時間が流れ、戦争が終わるかもしれない可能性も見つかり、戦いの中で他者に諭され……

エイティシックス達の中には、シン以外にも良い方向へ変化していく子たちが居て。

一方で、そんな彼らに置いて行かれたように感じてしまう、未だ変われていない子たちも居て。

 

そんな彼らの前が派遣されたのは、救難要請を飛ばして来た征海船団国家群。

海に行っちゃうんですよねぇ。一般にイメージされる青い海とかではなく、海底の岩や砂が黒いせいで、黒く冷たい荒れた海ではあるんですが。

遠い場所の象徴であった海に来てしまって、迷いがより鮮明になったと言いますか。

誇りだけを胸に戦い続けて来たエイティシックス達の前に、喪失を重ねて来た征海船団を持ってくるあたりが容赦ない。

 

中盤までどこか緩んだ空気を感じてはいましたが。

戦場においてそれは命取りだという事を、改めて突き付けてくるようで、震えましたね。

シンが不覚を取ったのも意外ではありましたが、彼の存在を把握している以上、レギオンも手を打ってくるんですよね。学習し続ける敵ほど厄介な物はない。

 

敵兵器の新調に、戦術を更新して対処している辺りとかは、やられるばっかりじゃないぞ、と気概を感じられて良かったですけど。

最後、完全破砕には至らなかったブツは結局どうなったんでしょうとか。

ちょいちょい気になる部分があるので、早く次の巻出て欲しい(8巻は今月の新刊だよ!)。

 

あらすじの「過去最悪の犠牲」の文言に震えて読んでいたので、思った以上にネームド生き延びたように思う。

いやまぁ、次の巻で被害状況総括とかされたら「いや、思った以上に死んでるわ」になるかもしれませんが。……海にフェルドレス引っ張り出して、慣れない場所での戦いの割にはマシだったようにも思うけど、そこに行くまでが、なぁ……

 

ここでコレってことは、ほかにも救難要請出してる国とかどんな状況なんだよ……

実際、ヴィーカが気づいたように犠牲は積み上がってるわけですから、作品として面白いけど彼らの先行きがとても不安になる。

最後に。原生海獣ってなんぞ??? めっちゃびっくりした。
設定はあるものの本筋には絡まないのでもう出てこないそうですけど。