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彼は最期に言った。

新しきが古きに挑むは義務であり、古きが新しきに敗れるは権利だと。

そう。敗れることこそ権利なのだと。

己よりさらに高き場所へ登る可能性を見ることの、何と喜ばしい事かと。

 

BOOKWALKER読み放題にて再読。

紙の本も持ってたはずなんですけどね……多分実家に置いてきたかな?

久しぶりに読みましたが、文章の好みが少し変わったかなぁ、とは思いました。ただ、キャラのポリシーとか気に入ってる部分が多いので、やっぱり好きだなぁと再実感。

ラジャスの「古き者の義務」が、好きなんですよね……

 

人の住む大陸と、異形の魔物たちが住む魔大陸がある世界。

その二つは海で隔てられていたが、時に海が割れ地続きになる時期があり、その時は人と魔物との間で戦争が勃発していた。

そんな中、人々の間には伝説が残っていた。魔物たちの首魁である魔王は、勇者と言う運命によって倒されるものだ、と。

 

最もこの世界、魔物は魔力を扱い火を吹いたりしてくる個体もいるんですが。

人間にはそうした便利な力はなにもなく……伝説を信じて魔王に挑んだ刺客は、悉く退けられたようですけれど。

ある時、魔王ラジャスの前に現れたのは、まだ年若い少女であり……魔力を吸収するという特異な力によって人から迫害された経歴を持つ者だった。

 

不意を付き、魔王の魔力を奪ったことによって、勇者に仕立て上げられた彼女は新たな魔王となった。

そして、魔物たちを従え人間の領土に攻め入り……わずか3年で、大陸を統一してのけたというんだから驚きです。

魔物たちの身体能力があり、勇者が策も練れる傑物だったのが大きい。

降伏も受け入れてきたので、併呑された国家の王族なんかも生きていて、内部に火種抱えまくっている状態でもありますけど。

 

一方で、魔力を奪われた魔王は、側近の手によって落ち延び、生き恥をさらすことに。

持っていた力は失ったが、その信念まで折れたわけではなく、彼なりに復讐をせんと行動を開始し……

建国四年目に開催される運びとなった武芸祭にて、別たれた道が再び交わる事になる、そんな物語です。

 

メインは勇者にして当代の魔王サラと、先代魔王となったラジャスではありますが。

周囲を彩るキャラクターたちの方、特に宰相のスキピオとかの方が、登場頻度的には多いのでは……彼説明役や状況整理役として動かしやすいですけど。

そして、メイン2人は少ない中で濃度高めに動いてくれるので、個人的には満足。