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「それはこういうものでした。

『かつての勇者は魔王となった。魔王と勇者は対のもの。

ならば空白になったその座が、今の魔王に対する今の勇者がいるはずだ』と」

 

BOOKWALKER読み放題にて再読。

帝国の有力者たちに送られた、差出人不明の書簡。

それは、勇者が魔王になったのならば。それに対する「今の勇者」がいるはずだ、と指摘する者で。

最も神々がいて、勇者を選択してくれるわけでもない世界で、誰が勇者かなんて決められずはずもありませんが。

 

不審な書簡であるのは間違いないが、ある種のアハ体験というか。気付きを臣下に与えた事は間違いがなく。

先の武芸祭において、皇帝の暗殺未遂があったように、主に害をなす可能性は潰しておきたいとスキピオは調査に乗り出してましたが。

……終わってみると今回の一件、大山鳴動して鼠一匹みたいな結末なんですけどね!

 

とは言え、元々各国で王の教師をしていたり、将軍や宰相であった人々の集まる会議で大真面目に「今の勇者」について話してる構図は笑える。

統一されたとはいえ、過去の遺恨までなくなったわけではなく、会議前にそれらを持ち出してギスギスしたり。それでも、未来の栄華を諦めたわけでもなく。

適度に帝国の足を引っ張りながら、首を着られない程度に有能さをアピールする狸ばかり集まっている辺りが好きです。

……まぁ、相手したくはありませんけど。スキピオの胃に穴が開かない事を祈っておきましょう。ラジャス相手に啖呵切れるなら平気か。

 

今の魔王であるところの皇帝陛下。

彼女を害せて、その意志もあると見做される存在。それについて考察するならば、先代魔王であるところのラジャスを外すわけにはいかず

スキピオが交渉して、数日城に滞在する事となっていましたが。

それによって事態が動き出すんだから、もう……感想としては、誰もが踊らされたな、という感じです。