「私、何か……そんなに特徴的なこと、ありますか」
(略)
「……瞳が、あなたを映していますから」
BOOK☆WALKER読み放題にて読了。
悪政を敷き、民を虐げた領主一族。
彼らは内部に侵入したスパイによって悪事を暴かれ、裁かれた。
蝶よ花よと育てられた、箱入り娘すら処刑された。
彼女自身は、真実、領主一族の悪徳に与してはいなかったのに。
……まぁ、家族の放蕩を知っていながら止めなかったというのは、確かなんですけれど。
そうする発想が出てこないくらい箱入りだった。
前領主一族を絶やし、革命の旗手となった男が新しい領主となって、その地は少しずつ快復しつつあった。
悪者は去り、めでたしめでたし……で終わったら、この作品始まらないんですけど。
処刑された筈の領主一族のお嬢様、その記憶を持って今の世に生を受けた少女シャーリー。
親も無く養護院にいた彼女は、ある時、院長から縁が巡り巡って、領主の屋敷で新人メイドになることとなって。
前世の記憶を持つ故に、上手く馴染めずにいた部分もあるようですが。
しっかりと仕事はするし、同僚からの受けも悪くはない。ただ、食事をあまり取らずにやせ過ぎな部分は心配されているようですけど。
ひょんなことから屋敷で働くことになった彼女は、更に予期せぬ遭遇によって領主付きのメイドとして勤める事となって。
お互いに相手を見て、秘している事情に察しを付けながらも触れずにいる、初期の微妙な距離感のやり取りが好きなんですよね。
領主の友人であるイザドルが踏み込んできた後の、しどろもどろになる部分とか。
そこに二人が触れた後、「仕事を終わらせるぞ」で空気を切り替えられる辺りとか。
それぞれの間に漂う空気が、気に入っています。長い台詞が連続したり、好みから外れる部分も無くはないですが。
1巻の引きがかなり良い所で終わっていて、続けて2巻を読み始めた身では何も言えません。