「弱さじゃないよ。別に悪いことじゃないし、会いたいなら会えばいい。それを本物だと思いこんじゃうと良くないけれど、動いて話せるだけの“アルバム”だと思えば、別に何もおかしくないでしょ? 技術の進歩って、そういうものだと思う、(後略)」
BOOK☆WALKER読み放題にて読了。
渡瀬先生による、SAOのスピンオフ。
『ザ・シード』が広まった後の、『アスカ・エンパイア』という和風ゲームがメインの舞台。本編のマザーズ・ロザリオで登場した、ユウキが最初に活動していたゲームですね。
舞台がそこってだけで、別にユウキ達は登場しませんが。
ゲーム内で知り合い仲良くなったナユタとコヨミ。
二人の少女が甘味処で休んでいたところ、新人プレイヤーのヤナギと出会って。
目的地が分からないというヤナギを連れて行った先は、ゲーム内で探偵を名乗る奇妙な青年の事務所で。
ヤナギは青年に、あるクエストを1週間以内にクリアしたいと、依頼を出して。
妙な縁からその解決にナユタ達も協力する事になって……
アスカ・エンパイアではちょうど、大掛かりなイベントをやっていて。
「108の怪異」。新しく実装したエリアを起点に、一年間で108のクエストを実装するというもの。その大半を占める『百物語』は、ユーザーの投稿作品から構成されているとか。精査するのも大変そうですけどね……実際対応している部署の人とかも出てきましたし。
ヤナギが攻略したいのも、ユーザー投稿企画の一つ。
未だ攻略者がいない『幽霊囃子』。餅シリーズの解法にはびっくり。何にでも抜け道ってあるんですね……
ヤナギが抱えている事情、なぜクエストをクリアしたいのかについては、読者視点だと描写がそこそこあるので、何となくは察する事が出来ましたが。
情報少ないのに真実に辿り着いてるナユタが凄い。探偵さんも驚くよ、そりゃ。
いくらかトラブルはあったものの、無事にクエストをクリアする事も出来て。
ゲームを楽しんでいる人々もいるんだよなぁ、とちょっと嬉しくなった。いや、キリト君が事件の最前線にばっかりいくから……
とは言え、ただ楽しいだけではなく。SAOのスピンオフらしい要素も盛り込んでいて、ドラマティックだったとでも言えば良いかな。結構好きな雰囲気で良かった。