「イザヤ様が悪いんです! 絶対にイザヤ様が悪いんです! いつもいつも、どうしてイザヤ様は私を伴ってくださらないのです!」
再読。
電撃文庫MAGAZINEに掲載した短編「銀のノウェム」・「黒のラーフラ」と書き下ろしの中編「紅衣の娘」で構成されている巻。
それぞれのタイトルに入っているキャラ(紅衣は変則ですが、玻璃たちの話)に焦点を当てつつ、巻を通した敵対者の存在もあって満足度は高め。
「銀のノウェム」は、ノウェムが生徒の一人と交流する話。
子犬に真面目に説得をする辺り彼女らしいなぁ、といいますか。「私に触られるのは不快だと思った」と言う自己評価には思う所ありましたが。
終わりには、犬を撫でられるようになったんだから、進展してますよ。
そこに至るまでにあった喪失を想うと、胸が痛みますが。イザヤが隣にいるなら大丈夫かな、と思える。
「黒のラーフラ」。ある事件を通して、彼の出生が明かされる話。
いやはや、何とも救いがないというか。だからこそ、彼はああなったんだろうな、と思うと寂しくもある。
ただ、事件が終わった後イザヤに問いかけられて「分かりません」と言える辺り、人間味があって良き。
「紅衣の娘」。
前2編で起きていた事件で浮上した、怪しい存在。
精神を再構築され〈獣〉の信者と化して、イザヤ達の前に立ちふさがった連中の組織は、根絶やしに出来たわけではなく。
索敵はしているものの、〈獣〉と戦うために監視網を敷いてるこの都市で信仰を広めていた事もあり、簡単には見つからず。
怪しい噂の広まっている奉仕活動に参加したり、地道に調査をすることに。
その過程でちゃんと当たりを引くんだからついてるというかなんというか。イザヤに苦言を呈するノウェムが可愛かったです。
事件解決して一件落着かと思いきや、巻末で爆弾放り投げてくるあたりは流石。先生の掌の上で弄ばれている……