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「……ですけど、本当にそんな選択肢に出会ったなら、私たちはちゃんと悩んで、ちゃんと苦しむべきなんです」

 

再読。シリーズ完結巻。

反救世主によって開かれた『門』へと、単身踏み込んだイザヤ。

彼の犠牲によって、世界には平穏が訪れたものの、イザヤの記憶は人々から失われてしまった。

それでも、ノウェムは例外的に記憶を保持していて……彼女の前に、消えたハズの獣が現れる。

 

当然、他の面々は排除するために動きだすわけですが。

彼女にとって聞き逃せない言葉を獣が呟いたことで、ノウェムは一時獣への対処を棚上げして、行動を開始。

断罪衣を展開したラーフラ相手にもひかなかった当たり、頑固だよなぁ。これはまぁ、元々ですけど。

 

反則のような手段を用いて、再度現れた英雄『久瀬諫也』。

彼が用いた、聖ゲオルギウスの第一種模倣奇蹟。終わってしまった状況を動かす、効果的な一手で……それがイコンの干渉によって生まれた、偶然の産物だって言うのが正直痛快ではありましたね。

 

いやだってイコン、門の中でイザヤに極悪な取引持ち掛けてるんですもの。彼の死が確定したループを延々と繰り返す状況にあって。

イザヤによって想定を崩された、意趣返しの面もあるようですけど。お前も意趣返しされろ! という思いが湧くので……

 

ラーフラが忘れていたことを、強く恥じている部分とかも良かったですよね。

「自分が心を動かされた事実を忘れるとは、自分を手放すことにほかなりません」。あぁ、そう言ってくれるんだ、と温かい気持ちになった。

 

総力を挙げた最終決戦の、第二幕。

イザヤもノウェムも本当に成長して、彼らなりの奇蹟を見せてくれたのが印象的でした。

しかしまぁ、再読してもなお褪せない面白さがあると言いますか。

読んだのが結構前だったこともあって、結構記憶抜けてて新鮮に楽しめましたね。

紙は流石に入手難度高そうですが、電子版も電子合本版も発売中みたいなので是非読んでほしい。