「私は諦めないから、れな子が諦めてくれ」
(略)
「ああ、なんかもう、親友とか恋人とか以前に、なんでもうまくいくと思っている真唯の思い上がりを、ぶっ壊したくなってきた……」
みかみてれん先生の百合―。
高校デビューに大成功した根は陰キャな少女、甘織れな子。
彼女は、トップレベルのスペックを持つ王塚真唯と、入学初日に友達になることに成功して。
スクールカースト最上位に属するだろう、王塚グループに入り込み、超絶陽キャと接していくことになった。
入学当初はデビューに成功して、人格面でも優れた友人が出来て幸せだなぁと思っていたものの。
人間そう簡単に性根が変わる訳も無く。陰キャなれな子には、陽キャとの付き合いがどんどん負担になっていき……ある時、壊れてしまった。
会話をぶっちぎって屋上に逃げて。王塚真唯は、それを放っておかなかった。
限界に達していたれな子は思わず逃げようとして、屋上から落ちる羽目になってましたが。何はともあれ無事でよかった……。
心配して追いかけて来て、一緒に落ちる羽目になった王塚真唯を前に、れな子は取り繕う事も出来ず「人と話すのが苦手」と言う自分の事情を打ち明けて。
スパダリと陰キャでは完全理解は難しいものの、王塚真唯の方も似たような気分になるなんて話を零して。
秘密を共有して、本当の友達になろうと一歩を踏み出した。あぁ、良い青春だなぁ……で終わらず、王塚真唯の方がれな子に惚れてアプローチしてくることに。
どうしてこうなった!? とれな子が王塚真唯に翻弄されつつツッコミを射れまくる、コメディ強めのラブコメ。
恋人になりたい王塚真唯と、親友でいたいれな子。
二人とも譲らず、折衷案として「恋人として過ごす日」、「親友として過ごす日」を設けてお互いがアピールしていくことになって。
この勝負、無理だと言ってる恋人関係を、暫定的とはいえ受け入れてる時点でれな子の負けだよな……
王塚真唯がもう本当に、色々と強いんだよなぁ。なんか、「真唯」とかじゃなくて「王塚真唯」と呼ばなきゃいけないような気がしてくる。
容姿の良さを武器だと思ってると言った時、れな子に「その武器、原始時代に持ち込まれたガトリングガンみたいな破壊力あるよね……」とか言われてますし。
自分の長所を理解して、ガンガンアピールしてくる。ホテルのプールに連れて行ったり、キスをしたり。恋人関係にも手を抜かない。スパダリたる所以を見た気がします。
れな子のツッコミが都度冴えわたっていて、笑えます。
いやぁ、無理して陽キャグループに属してる、と本人は自称してますが。
割とこなせてるんじゃないかなぁ。時折不具合発生させてますけど。
正直同じこと出来る気はしないので尊敬する。
陽キャグループの他の3人もいいキャラしてましたし、楽しい作品でしたね。
王塚真唯も中々ユニークで好きですけど、紗月と紫陽花の方が好みのキャラ造形してる。
他の感想サイトとかも見たりしてるんですが、紫陽花さんに熱上げてる人いたのも分かるなぁ……。
2巻では紗月さんが結構メインに絡んできそうなので楽しみ。