「……はい、よくわかりました」
「……そうですか」
一人でいる事を好み、友人をほとんど作らず高校生活を送っていた楠葉簾。
ある日彼は、美少女が告白されている場面に居合わせてしまって。最初は隠れてやり過ごそうとしたものの、振られた男子が無理やり迫ろうとしたのを見かねて、少女を助けることに。
男子が逃げて少女に気づかれた後、名乗りもせずに去って行く当たりが、彼の蠱毒主義も極まってる感はありましたが。
助けられた美少女・橘理華も、一筋縄ではないかないと言うか。
翌日には簾のことを突き止めて、助けられた分のお礼を受け取ってほしいとやってくることに。
そのお礼の件が落着し、もう会うことも無いだろうと思っていたのに、どうしてか二人はそれからもあちこちで顔を合わせる事に。
知らない相手だと記憶に残っていないこととかありますけど、一度知ってしまうと思わず視線が向いちゃうとかありますよね。
まぁそういうの抜きにしても、簾と理華の二人は趣味や行動パターンが似通っていたみたいなので、遭遇イベントはどこかで発生したでしょうけど。
……実際途中で明らかになってましたが、過去にも近くに居た場面があったようですし。
簾が一人を好んでいるために、距離を取ろうとしていましたけど。
それでも根っこの人の良さは隠せなかったというか。人を気遣える、優しい子ではあるんですよね。
理華との交流が増える中で、彼の心境にも変化があって。いい感じに話がまとまったのは何よりでした。
「もし、ひとりよりもふたりの方が楽しいって思ったとしたら」。
ずっと一人だった彼が、そう言えるようになって。相手もそれを望んでくれる。これほど良い関係もないでしょう。
意識してからは、割と早かったと言いますか。1巻で告白イベントまでやっていたりテンポが良い作品ですね。