「あなたの誠実さが、わたしを助けてくれたのよ」
スカーレットの処刑の真実に辿り着いたコニー達。
ランドルフを頼りにスカーレットの父、アドルファスに会いに行って。
挿絵で触れられてるので行ってしまうと、思いっきり平手を叩き込むことに。
いやぁ、コーネリアの系譜に属する女性たちは強いですね。代々伝えられていた、とっておきの魔法の呪文が、中々痛快でした。
スカーレットの両親のエピソードも間に挟まっていましたが。
章間の登場人物紹介で父親が「歪んでいるように見えて意外に真っすぐな人」とか言われてて……生きるのに不器用という感じがしたなぁ。
国の為に決断をした。いや、出来てしまった父親の慟哭が痛かった。
少しずつ少しずつ。コニー達は味方を増やし、【暁の鶏】の手駒を洗い出し、敵の計画に迫っていた。
当然、あちら側からすれば邪魔をする勢力なんて面白いはずがなく。
末端を囮にコニー達を罠に嵌めて。それに気づいたコニーが取った行動が、無謀で勇敢で、そんな勇気を出さなくていいんだよ、と言ってあげたかった。
でも、コニーが冤罪を被ったことで、ランドルフたちが自由に動けるようになって、結末に繋がるわけだから、全く無駄でもないんですよね。
ハームズワース子爵がただの丸い貴族ではなくて、曲者だったのも愉快でしたし。
グレイル家が積み重ねてきた「誠実たれ」という家訓。それが、この局面で活きてくるのが面白い。
【暁の鶏】達も、一網打尽とまでは行かずともかなりの痛手を負ったでしょうし。
セシリア王太子妃の秘めていた事情と、彼女が導き出した答えもまた悲しいものでしたけど。
全く。誰も彼も、いざという場面で覚悟が決まりすぎでしょう。そういう血でも流れているのか、この国には。
誰も彼もが諦めず、意外なつながりから助けを得る事が出来たりして、多くの人が手を取り合った結末を祝福したい。
巻末には描き下ろし短編が2編。上手く逃げ延びた二人を描いた「ショシャンナとサルバドル」。終章後を描く「花笑む人々」。
どっちも良かったですけど、特に後者が好きですねー。
ハームズワースが笑いそうな場面で、しばらく耐えていたのはお見事。正直、目の前でアレを繰り広げられて、笑わない自信がない。最後には耐えきれなくなってましたが、仕方ないね……
WEBでは後日譚とか掲載されてますが、ひとまず書籍は完結なんですかね(電子ストアで完結タグがついてた)。
イラストも綺麗ですし、章間にある登場人物紹介が笑えて楽しいので、書籍版いいですよー。是非是非。