「――伊織先輩は、私のことなんて、早めに忘れてしまってほしい」
露店で働いていた少女、生原小織。
まなつによって、彼女こそが伊織が見舞い続けていた、「かつて星の涙を使った、眠り続ける友人」であったことが判明した後……
一旦店を閉めてしまうから、喫茶店にでも行っててよ、と言われて。
当然、事情の一部を聞いた灯火やまなつがそのまま帰るはずもなく。美少女3人を氷点下男が侍らせてる図が出来上がってましたが。
灯火とまなつが、適宜ツッコミを入れてくれるのがありがたかったなぁ。
結局伊織は一人で(当事者の小織を連れてはいましたが)星の涙問題にあたることを決めてしまって。
裏側で、友人として話をしようとしてるのが良いですね。まなつの「なんでそれで普段はアホなの?」とか笑えましたし。
今回は特に蚊帳の外に置かれていた二人ですが、その交流がこの後に続いてくれると嬉しい。
さて、眠り続ける生原小織。
彼女は星の涙の力を持って、ずっと夢を見続けている状態だとかで。
問題を解決するために、星の涙に願いを捧げた張本人に会うために夢の世界へ。
現実とは違う時間が流れている、夢の世界。そこは、夢であるからこそ、そうであれば良かった理想的な「夢」が広がっていて。
陽星が、伊織の親友であることを自覚して、その明るさを見せつけて来たりするわけですよ。
あり得ない筈の光景を見せつけられて、また伊織が頭痛を覚えていましたけど。彼の、星の涙に干渉を受けた時に見せる反応も、絶対起きるわけでも無いですし謎が多いですよねぇ。
小織回で、これを見せつけてくるのは本当に人の心がない、と言いたい。……心があるからこそ、的確に傷つけられるという説もありますが。
誰も悪い事をしていないのに、間違った場所に入り込んでしまっているのが、本当に救いようがない。
星の涙に願ってしまったという事実がなくても、いじめは生じていたわけで、誰かは傷付いたんだろうなぁ、と思えてしまうのが痛い。
電子書き下ろしのエピソードも、小織の過去を描くもので、どうしてそこまでするの? というか。誰がそこまでやれと言った感があって、思わず叫びたくなりました……えぐい。
小織の事好きで、さらに好きになりましたけど。……この終わり方だと、彼女が再び登場してくれるのか、悩ましいんだよなぁ。
少なくともリハビリに専念する事になるだろうし。伊織は、習慣になってる見舞いを続けるかもしれませんが。それはそれで、問題があるというか。
エピローグでついに登場したナナさん。
もったいぶった甲斐があるというか、胡散くささの極みみたいなムーブしてきて、そりゃ伊織も不審者と評するわけだ、という感じ。こういうキャラ、結構好きですけど。
それはそれとして、傷口に塩塗り込むような、衝撃の事実を突き付けに来るなよ。タイミングとか演出含めて最高に最悪だよ!
こんな極悪な許し、見たことないって思わず叫びたくなるくらいには、凄まじかった。
あとがきでシリーズもギリギリを飛んでるとか書かれてて、不穏ではありますが。
遠野くんも何か裏で動きだしてるみたいですし、4巻にも期待したい。