11月14日を持ちまして、ブログ開設から7周年となりましたー。
今年は、『このライトノベルがすごい!』の協力者も務めまして、継続してきた甲斐があったかなぁ、という感じ。
新作をあまり読めていなくて、既刊の読み返しばかりになってることもありますが、自分のペースで続けていけたらと思っております。

周年記念で、読めている範囲でオススメの新作を紹介しようのコーナー。
新作の基準は今年1巻が発売していること。続きは下記。
順不同・敬称略での紹介です。

1、『今はまだ「幼馴染の妹」ですけど。』(MF文庫J、著:涼暮皐)
今年の新作だとイチオシですね。
失った1番大切なものを取り戻してくれる代わりに、2番目に大事なものを持っていく、という都市伝説《星の涙》がある街、流宮。
主人公の冬月伊織は、《星の涙》が実在することを知っていて。
けれどその存在を認めることができず、誰にも使わせないと決めて、ヒロイン達の願いを止めようと奮闘する話です。
1巻帯に「(考えが)甘いラブコメ」と書かれてたりする、SF(すこし・不思議)要素もある作品で、青ブタとか好きな人にオススメしたい。



2、『竜と祭礼』(GA文庫、著:筑紫一明)
高名な魔法杖職人が死に、見習いのまま取り残された最後の弟子イクス。
彼の前に、かつて師匠が交わした修理の約定書を持った少女が現れて。
その杖には、遥か昔に滅んだはずの竜の心臓が素材として使われていた……
杖を修理するために、情報を集めて、現地に足を運んで。
魔法要素はあるんですけど、戦闘とかはほとんどない堅実なファンタジーです。



3、『さよなら異世界、またきて明日』(富士見ファンタジア文庫、著:風見鶏)
異世界に迷い込んだ少年ケースケ。
しかし、その世界は人が結晶となり消えて行く現象が起き、滅びに向かう最中で……
あてどなく旅をする中で、同じように旅をする少女ニトと出会い、それぞれの探し物を求めて一緒に行動をする作品。
ロードムービーファンタジーと1巻のあらすじにはありましたが。
滅びに向かう中で旅をする人、変わらずに仕事をする人。各々の事情があって、そのどれもが尊く輝いて見える、静かで優しいお話。



4、『たとえば俺が、チャンピオンから王女のヒモにジョブチェンジしたとして。』
(富士見ファンタジア文庫、著:藍藤唯)
なろうからの書籍化。
職業によって全てが決まる世界で、「無職」ながらコロッセオのチャンピオンにまで上り詰めた男フウタ。
しかし、その戦いには花がなく……最後には追放されることになった。
経営者の甘言にのって、八百長に手を染めてしまったフウタにも非はありますけどね。
放浪の果てに、フウタは自分の技量を認めてくれる王女と出会い、彼女の傍で剣を振るう事に。
元チャンピオンとしてフウタが戦うシーンを盛り上げる、前振りが上手いなーという感じの作品。
王女の大それた企みがどう転ぶのかも気になるところ。

 

5、川上稔短編集(電撃文庫BornDigital、著:川上稔)
電子専売の短編集。1~2は『パワーワードのラブコメが、ハッピーエンドで5本入り』。
3~4巻が『パワーワードの尊い話が、ハッピーエンドで5本入り』として、来年1月くらいに刊行予定。
カクヨムで連載してた作品を、書き下ろし込みで纏めた作品ですね。
タイトルに在る通り、どの作品もハッピーエンドなんですが、川上節と申しましょうか、個性的な主人公・ヒロイン達が登場して、笑える作品となっております。



6、『楽園ノイズ』(電撃文庫、著:杉井光)
電撃文庫5月刊。
杉井先生の音楽ラノベ! ということで、わかる人にはわかる感じ。
出来心で女装して演奏する動画をアップロードしたら、音楽の教師にばれて、色々とこき使われる羽目に。
そして、縁が出来た少女達と一緒にバンドをすることになって……みたいな。

 

7、『わたしが恋人になれるわけないじゃん、ムリムリ!(※ムリじゃなかった!?)』(ダッシュエックス文庫、著:みかみてれん)
みかみてれん先生の手による、ガールズラブコメ。
元陰キャだった甘織れな子が高校デビューして、陽キャグループに所属して。
なんの因果か、スパダリと異名を貰う王塚真唯に惚れられてしまい……
親友が欲しいれな子と、恋人になりたい真唯のやりとりが楽しい作品。
2巻ではグループに属する紗月さんと付き合うことになったり、れな子モテモテで笑えます。



8、『悪役令嬢(ところてん式)』(HJノベルス、著:なみあと)
ゲーマーな主人公が、気づいたら乙女ゲーの世界に入り込んでしまって。
テンプレで言うと、主人公と言うかヒロインになるところを、なぜか悪役令嬢役の子の中に入ってしまい。
さらに、押し出されるように悪役令嬢の中身がヒロインの子に入り込んで。
二人で結託して、状況を乗り越えようとしてるんですが、攻略対象をRTAしてる感があって笑う。
ゲームでボコボコにするし、それを買われて贈られた品を、賄賂として横流しするし。
乙女ゲーってこうやって攻略するもんだったっけな……って真顔になる。



9、『むすぶと本。『さいごの本やさん』の長い長い終わり』シリーズ。(著:野村美月)
ファミ通文庫から『むすぶと本。『外科室』の一途』と同時発売した作品。
『外科室』では本の声が聞こえる少年が過ごす学園生活を、『さいごの本やさん』の方は閉店が決まった書店の応援にいった時のエピソードを描いています。
元書店員としては、閉店フェアの様子が特に印象に残ってるのでこちらをオススメ。優しくて暖かい、良い物語です。



10、『Babel』(電撃の新文芸、著:古宮九時)
以前電撃文庫から出ていましたが、2020年6月にリブート刊行されたシリーズ。
文庫から新文芸に移行するにあたって、1冊の文字量が増えたため、文庫版では割愛されたエピソードが再録されたり、ボリュームアップして楽しめます。

女子大生だった雫が、魔法がある世界に迷い込んでしまって。
たまたま出会ったエリクという魔法士の助けを得ながら、帰還の方法を探す物語です。
1巻のサブタイトルが白眉なんですよねぇ。

魔法言語を専攻とするエリクは、異世界から来た雫に、彼女の世界の言葉について教わることを条件に手助けをして。
常識が違うので、微妙に噛み合わないこともある会話があったり。逆に雫がエリクから、この世界の話を教わったり。それを「言葉の旅」と称する表現が、美しいと思うんですよ。
2巻で真実の一端に気が付いたり、巻を負うごとに世界への理解が深まっていくのが楽しいですよ。