「あなたのほうが苦しい思いをしているわ」
「俺は失敗したことの後始末をやろうとしただけだ。それももう終わりだ」
同レーベルで書かれてる、古宮九時先生が個人的にプレゼントキャンペーンをやっており、頂きました。
……訳が分からないと思いますが、私も良くわかっていません。ともあれ、頂いた以上は早めに読まないとなぁと手を出して、少し時間がかかりましたが読了。
こんな機会でもないと読まないかもしれないジャンルでしたが、かなり面白かったです。
学生時代に出会った友人、サクと一緒にIT分野を学んでいったショウ。
サクが天才的な技能で作り上げたツールを、ショウが営業していくというスタイルで、二人は、順調に成長していたはずだった。
しかしある日サクは失踪し、シュウは失意の中で怠惰な生活を送ることに。
定職には付かずサクを探し続ける日々。
そんな中で、以前の職場にいた友人から仕事を割り振られて。
そこから、大規模なサイバー事件に巻き込まれていくことになるものの……追求していくと、その裏側にはサクの影があって。
実際に起きたIT事件や、現行技術の話が盛り込まれた、サイバー犯罪の話。IT分野の知識が多いとより楽しめたのかもしれませんが、詳しくなくても十分満喫できます。
技術の発展という輝きが大きいほど、影が大きくなる、とでも言いましょうか。
誰かが悪意を持ってツールを扱った時に与える影響も、甚大なものになるのだ、という混乱模様を突き付けられると少し思う所がありますね……。
そこそこ前に、Twitterが落ちた時とかも「Twitter落ちた? って呟くTwitterが欲しい」とか言ってましたし。不便さを感じる事があっても、一度掴み取った利便性を捨てるのって、中々できませんよねぇ。
シュウの葛藤っぷりは中々のモノで、うじうじしてるな……とは最初ちょっと思いましたけど。
それだけサク相手に真摯だったからこその最後なんですよね。読み返すと印象変わりそう。
ネームドのキャラは誰も個性立ってて好きですが、それだけに命を落とした人もいるのが辛い。
あ、ホテルのモブ君も結構愉快で気に入ってます。「有酸素運動に最適なジムを完備しております」じゃないよ!