「もう少しだけ我慢して、これから始まる戦いを見ていてくれ。みんなが頑張ってくれた成果を俺たちが示す。エレナを浚いにきた反乱軍を叩き潰してな!」
BOOK☆WALKER読み放題にて読了。
地方群主の子息であるカイは、武芸こそ駄目なものの口は達者で。
祖父と一緒に研究に打ち込んだり、幼馴染の婚約者・エレナと良好な関係を築いたり。
穏やかな時間を過ごしていた二人は、何事もなければそのまま平凡で幸せな人生を送るはずだった。
けれど、王都において参謀ウェインによるクーデターが発生。
王位継承者の多くが殺され……エレナもまた、継承権を持つために標的とされた。
この世界には鉄騎竜と呼ばれる巨大兵器が存在するが、カイ達のような地方群主にいきわたるほどではなく。
「鉄騎竜」の所持を厳しく制限する事で、上位層への特権化したり、戦力の集中と言う意味でも間違ってはないと思いますが。
そうやって造り上げた安寧を嫌って、反乱する輩まで出てくると話は別と言うか。
王位継承者を皆殺しにするという苛烈さ。その手口を好まない人は居るでしょうが、圧倒的な力の前では無力で。
エレナの命も危うかったですが。カイが祖父と培ってきた研究成果、「騎士竜」の力によって敵の尖兵を撃退。
長く厳しい戦いの始まり。
カイの父親たちが、流れされるままに戦うのではなく。
標的であるエレナを引き渡したところで未来はないと理解して、彼らなりの野心を抱えた上で戦う覚悟を決める描写を入れてくれたのは良かったですね。
騎士竜と鉄騎竜のバトルで、カイの見せ場を作りつつ。戦争では、それ以外の見通しとか根回しも必要だという視点があって作品世界が広がった感じがする。結構楽しかった。