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「なにを教えて、なにを残してやるのか。……これはどんな戦よりも難しいぞ、ヒューゴ」

 

綺晶機関の秘めた力と、それが新たな災害をもたらす可能性に気が付いたカイ。

問題は騎士竜とその機関の扱いに関してだけではなく。

領主であるシギル家の戦力が落ちた事によって、ヴェーチェル領そのものを狙う外部勢力の存在まで考えられることに。

 

このタイミングで、エレナの義兄であるリチャードが帰還して、戦略的なアドバイスをくれるようになったのは助かりますね。

カイとエレナの婚約に関して思う所があるようで、ちょっと面倒な兄としてちょっかい出してくる場面もありましたけど。

どちらかと言うと、現場で活躍したり機関の研究をしている現場の人間であるカイ。彼を補佐できる立場の人間が増えるのに越したことは無いでしょう。

 

……しかし、厄介なのはクーデターを実行したウェイン一派がそれを把握してることですよ。

エレナには王の器があること。カイは将の器ではない凡人だが……エレナと共にあるのならば、英雄になる可能性すら考えている。

力だけではなく、策謀も備えた敵と言うことで。カイとエレナ達に立ちはだかる敵は強大で、けれどカイ達はまだ青い。さて、乗り越えるまでの時間が足りるかどうか。

 

今回は、そんなカイが成長するエピソードでもありましたね。

エレナを渡すわけにはいかず、それ故に戦いは続けますが、彼自身の核が定まらずぶれていて。「誇り」を掲げて交戦する騎士相手に、迷う場面なんかもありました。

けれど、父親から当主の位を譲られ。領主として立つことを決めて。「騎士」の姿に感じていたもどかしさも超えて、彼なりの軸を確立したように思える。

ただ、それだけに。敵にこちらの手札を一つ奪われたのは痛いなぁ。猶予の時間が削られていく。