「(前略)そうでなければ、この難局を乗り切ったとしても、『勇者』がいなくなったあと、また魔王軍が来た時戦えない」
「私達が勝利していないから」
「そうだ」
WEBは未読。BOOK☆WALKER読み放題で読了。
期間限定タイトルで、12月31日まで。
加護やレベルと言った概念が存在すファンタジー世界。
暗黒大陸を支配する魔王によって、人々のクラスアヴァロン大陸への侵攻が開始し、勇者の加護を持つ少女が仲間たちと戦場を渡り歩いていた。
その中にあって、勇者の兄であるギデオンは『導き手』という、初期レベルが加算されるだけの加護しかなく。
激しさを増す勇者たちの旅についてこれていない、と一行の『賢者』から追い出されて。
本人も力不足を実感していたり、予想外の場面を見せいで、諾々と従って辺境まで流れ着いたそうですが。
そこで、それまでに得たコモンスキルや汎用的な知識を使って、薬屋でもしようとして。
実力も伏せてDランクの冒険者として振る舞いつつ、住人と良好な関係を築いているので実際スローライフは成功してる感。
なんの因果か、勇者一行として協力した事の在る王女様も、彼女の事情によって辺境にやってきていて。
口絵で「ツン期の終わったツンデレ」と評されている通り、ギデオンに対して甘い彼女が可愛くていいですねぇ。
お偉いさんたちからすると、高ランク冒険者だった彼女が冒険者引退するのは避けたいらしくて、色々と交渉に来たりしてましたけど。逆効果というか。
守るものと排除するものの線引きが出来てるのは好感が持てて。
しかしまぁ、戦闘では力不足だったとはいえ、色々とフォローは欠かさなかったというか。
各種交渉なんかも請け負って居たりしたようですし……実際、ギデオンが抜けた後の勇者パーティーのギクシャクした感じを見ると、大打撃も良い所なのでは。
加護もスキルなどのプラスの素養だけじゃなくて、それの持つ力によって、力に傾倒したりする引力があったりするようで。正直ある種の呪いのようにも思えて怖い。
レッドという偽名を使って、冒険者リットと薬屋をしている二人が平穏であればいいと思いますが。
勇者側も一枚岩じゃないし、絶対何か怒るんだろうなぁ……。賢者はもう少し痛い目見るといいと思う。