「自らの力で為さなければ、そして為し続けられねば、そこに意味なんてないんです」
本編2巻のSシリーズで死亡が確定していた、勇者ユリウス。
これまでも過去編……というか蜘蛛子パートに登場する事がままありましたが。
シュンが慕う立派な勇者であった彼にも、子供時代は存在して。立場故に尊重はされるものの、お飾りの指揮官に座らせられたりする状況で。
当人としても思うようにならず悔しい場面も多かった模様。そんな彼が、勇者としての自覚を育み、成長していくYシリーズがメイン。
他視点の幕間と、学校に通い始めた吸血っ子の話である「そふぃあちゃん日記」が間に挟まっています。
全寮制で外出にも面会にも手続きが必要な学校で、カースト上位の存在に目を付けられてイライラしてるソフィアちゃんの様子が、正直笑えた。
メラゾフィスに会いたくて脱走しようとして、人形蜘蛛たちに縛られている下りとか。それでも懲りない辺り流石ソフィアちゃん。嫉妬持ちは伊達じゃない……。
「日記9」では襲ったりしないと言ってたのに、「日記10」では速攻で前言撤回してる辺りがもう……自分でも触れてたけど即落ち2コマ系として完璧なオチである。
白から折檻受けてましたが、今回は彼女が正しい。いや、酔うと無意味に縛ったりするし、あの新人神様……。
ユリウスの成長をしっかりと描いた上で、最後の挿絵。
同じような思いを掲げて、けれど視線が交わる事のない勇者と魔王の姿が淋しい。
けど、白たちの支店で世界の危うさとかを知ると、ここで代わらないとどのみち滅ぶという意味で魔王陣営寄りの思考になってしまうんだよなぁ……。