「もう一つ確認する。お前は俺達の敵か? 答えろ」
賞金首騒動も落着した後、アキラは車と装備の更新も終えてリオンズテイル社の端末を探して荒野を放浪していた。
しかしまぁ、いつもヨノズカ駅遺跡みたいな当たりが出るわけでもなく。徒労が続き、アキラのモチベが去ってきていたのでアルファは既存の遺跡の、未踏破地区への挑戦を提案して。
そうして新たに彼が訪れたのが、ミハゾノ街遺跡。
ハンターオフィスの出張所や、駐車場が整備される程度には実入りが良い遺跡で。
まだ稼働している工場まである、機械系モンスターが多い遺跡にアキラは挑みます。
WEB版だと「セランタルビルを攻略せよ!」って言う感じの展開でしたけど。書籍版だと結構展開が変わっていて「ミハゾノ街遺跡に生じた異変!?」みたいな(わかりにくい)。
今のアキラの実力では、セランタルビルに挑んでも死ぬだけだ、とアルファに止められて。
代わりに工場区画の調査をしにいったところで、地図屋のキャロルと出会ったりします。
顔見世だけを済ませた後、異変に巻き込まれて逃げ延びて。
アキラ達が遭遇した問題以外にも、遺跡全体で異変が起きていて……エレた達に連絡を貰ってからの救援依頼とか、WEBの要素は拾いつつ無理が無くなっているというか。より洗練されていて読みやすく感じましたね。
ミハゾノ街遺跡でのトラブルにおいて、アキラはまたアルファが居ない状況下での戦闘を強いられます。
そして、序盤は押されるものの。彼によって譲れない一線を侵した、改めて示された時の覚悟を決めた姿は中々格好良かったと思います。
アキラとの交流を得て、成長しようとしているレイナとトガミの不器用な若手たちが好きなんですよねぇ。
反カツヤ派の期待の星と担ぎ上げられかけたトガミが、賞金首戦を経て自制できるようになってるのが、凄い好きなんですよ。
「自分を自分で誇れるだけの実力を再び得ることだ」と言う彼の目標(これすらも、完全な正解ではないと終盤に思い至ってましたが)が、ハンターとしての矜持を感じてよい。
レイナはレイナで、自信の非力を実感して。「123話種明かし」でシオリがアキラに投げた、「使えるはずの装備を、使わない人間をどう説得するか」への返答も、アキラの判断基準が明瞭で、その割り切りが頼もしい。
全体的に、世界観を大事にしつつ増えたキャラも上手く動かしていた印象。
しかしまぁ、相変わらずアルファがアキラの行動を操ろうとしている、怪しさがあってこれからどう転がっていくのかが楽しみでもあり怖くもある。
あとやっぱり対人戦は面白い