「――それなら丁度良い。そろそろナトラの民も夢から覚める頃だ」
東西南北四つの連合都市からなるウルベス連合。
そこの代表を務めるアガタに、「統一に手を貸してもらいたい」と招かれたウェイン。
しかし実際に訪れてみると、アガタが代表を務める東都は連合内の競争に置いて行かれている側で。
転がり落ちていく間際に呼ばれたウェインは、他都市の代表と会ったりもしてましたが侮った態度を取られて。
貿易交渉が成立できればいい、とナトラの国益を優先してアガタを速攻で切り捨てる判断を下そうとするあたりがウェインだよなぁ。
まぁ実際、一国の王太子としては正しい判断ではありますけど。
それはそれとして、アガタから提供された資料を基に工作をしかけたりもしてました。通常の交渉ではなく「お見合い大作戦」になる当たりが笑えて好き。
いつものおふざけかと思いきや、実際に成果を挙げて見せるんだから最高ですよね。
あと、本編では着てくれませんでしたが、口絵で描かれたニニムのドレス姿がとても素敵でした。早く結婚して。
西の端にあるウルベス連合には、当然フラム人の奴隷もいて。ニニムの情緒が乱れまくっているのが、珍しくて新鮮でしたね。
後は、ついにウェインからフラーニャに教授された、ナトラに伝わるフラム人の国の話。
始祖と呼ばれたかつてのフラム人の英雄が為したこと。その当時に作った国が、滅びた理由。そして、その話にレべティアが関わっているって言うんだから、厄ネタの宝庫過ぎるな……。
最後の、ウェインがニニムに伝えた「夢から覚める頃」と言う台詞が印象的と言いますか。
フラーニャが名を上げるのを止めるどころか促したり、シリジスという有能な補佐を付ける事にも反対はしなかった。
他の方が「ウェインはあくまでもまだ王太子でしかない」という趣旨の感想を述べているのを見た事があるんですが。
ウェイン、成長したフラーニャにナトラを任せて、自分は5巻でグリュエールに語った「内に飼う獣」が喰らいたいものの為に動き出すのを想定してないだろうか。
アニメ化も決定してシリーズ好調なようですし、このまま続いて行ってほしい所です。