「いいよ、アッシュ君――やろう」
(中略)
「ここから先は、あたしも命をかけるよ」
2年の軍子会を終え、働きはじめたアッシュたち。
領地改革推進室という新しい部署が設けられ、マイカが室長としてアッシュを始め、軍子会のメンバーなどが参加していた。
「実質アッシュ君の巣」なんて噂されているようですけど、それだけの実績挙げてるからな彼ら……。
農業改善計画と工業力向上計画の管理・運営・実施・調整および付随業務全般とか担当範囲が広すぎる。
それでどうして結果を出せるんだ。まぁ、大体アッシュの無茶ぶりに適合して、周囲も能力を伸ばしていった結果ですよね。
彼らは、領主代行の支持があることもあって結果を出しています。
けれど、その手がどこまでも届くわけでも無くて、どうしようもない部分は切り捨てる判断が必要になることもある。
その判断を、切り捨てる側が理解して受け入れてくれるとは限らないのが、難しい所ですけど。
税収の推移や、現地の状況を確認した結果、農村としての体裁を保てなくなっており「放棄した方が良い」と理性では判断を下す村を見たアッシュ。
しかし、彼の胸には憤りがあった。
該当のアジョル村は、見捨てられたと嘆くばかりで改善する気概がなかった。
それまで手助けしていたが、自分たちの村も危うくなり支援を切った相手を逆恨みすらしていた。
「あの村を見捨てないと言った、その覚悟を見せていただきましょう」
勢いのままにアッシュが言い放っていましたが。これまでずっとそばにいたマイカが、今回は止める事を選ばなかった。
目の前に問題があるのに、逃げることは出来ないと。一緒に抗うのだ、と。
アッシュと言う暴走機関車に引っ張られるのではなく、自分も並ぼうとする彼女の覚悟が、本当に強くて素敵。
……まぁその結果として、推進室の周辺に善意に寄る地獄への道が敷設され、開発メンバーを筆頭に悲鳴を上げる羽目になってましたが。
流石に全てが順調とはいかないまでも、不可能に近かった村の再建に近づく所まで行ったのは流石です。予想外のトラブルに横殴りされてましたが。
それはそれでアッシュの功績がまた一つ積み上がったわけだしなぁ……。振り回されまくってるイツキがアッシュに大分慣れて来てるのが分かって楽しかったです。