「でもたとえ実在しなかったとしても、あるべきものだと思います」
「何故だ?」
「そのほうが都合がいいからです。必死に生きてきた人の行きつく先が無であっていいはずがありません」
魔王を倒し、凱旋した勇者一行。戦いが終わっても、彼らの人生は続いていく。
1話で「僕たちの冒険はこれで終わりだ」と言って、思い出話をしているシーンとか、彼らの積み重ねてきた時間を感じられて良いですねぇ。
エルフの魔術師・フリーレンが過ごす、討伐後の時代を描いていく物語です。
仲間と過ごした10年の旅を「短い間」という彼女の時間感覚は独特で。1話にして、50年の時間が過ぎ去ってかつての勇者が老人になり、亡くなるまでを描くんだから凄いな……。
出会いと別れの繰り返しで、どうしようも無く寂しさを感じる静かな物語、というのがメインの印象なんですが。「タンスに仕舞われずっと邪悪なオーラを出してる暗黒竜の角」とか、要所でコミカルな演出もあって飽きませんね。
生臭坊主呼ばわりされているハイターが、いい性格してて今のところ一番好きなキャラかもしれない。
第2話の「僧侶の嘘」で、フリーレンを騙し抜いた振る舞いとか尊敬できますよ。
恩返しをしたいと足掻くフェルンの想いも尊かったですし、3話以降の二人旅も味わいが変わって良かったですね。1話ごとに1年経ってるのに、全体的にはゆったりしてる雰囲気なのも凄い。