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「そんな昔の事は忘れたわ! 事情が変わったのよ! この魔王が! 魔王だったことを後悔させてやるわ!」

 

BOOKWALKER読み放題にて読了。期間限定タイトルで331日まで。

タイトル通りの作品ですねー。地の文がですます調の三人称で、なんかノリきれなかった感じがします。コミック版をガンガンで見てますが、あちらは気にせず楽しめたので、作品の雰囲気は好きながら文体は合わなかった、という評価になるでしょうか。

 

英雄たちの子孫が暮らす辺境の街コンロン。この国の王都の住人からすれば都市伝説のような場所みたいです。

コンロンの村人たちの常識では、最低でも水中に三時間は潜れないといけないし、燃料や食料扱いしてる魔物を危なげなく倒せなくちゃいけないし、骨折程度は一時間で治す超人ばっかりが住まう、冗談みたいな村です。

 

いや確かに、RPGのラストダンジョン付近ってレベル上げした主人公パーティーでも苦戦するのに、そこで平穏に暮らしてる人が居たりすると、よく無事だなーと思う時もありますが。

実際に「こんな人達だから問題なく暮らせるんですよ」をお出しされると乾いた笑いが出ますね。

 

主人公のロイドはコンロン村の住人の中では最も弱く、可愛がられてるばかりの子でしたが……小説に影響されて王都の軍人になりたいと言い始めて。

周囲は心配して止める者の、長が許可したために彼は夢を抱いて王都に向かいます。まぁ、彼も超人どもに囲まれて基準バグってるだけで、買い出しのために山二つ超えた先に行くわ、王都の住人からすれば恐ろしいモンスターを一蹴するわの能力を持っているわけで……。誰か、正しい認識をさせてあげて、早く。

 

そんなロイド君に、周囲の人々が大いに振り回されていくことになります。呪いのベルトで顔を覆われていた少女は、解呪してくれたことに恩義を感じメンヘラストーカー染みた状態になってますが、基本的には善人な彼の行動は、物事を良い方向に転がしていくのでそこは安心して見られますね。

ただ幼少期から叩き込まれた「常識」が強固過ぎて、能力を認められても「そんなまさか」ってなってるのは、天丼芸が過ぎるというか数重なると飽きる。