「待ってて、アッシュ君! あたしの想いを絶対に受け止めてもらうんだから!」
カバーイラストからもうマイカちゃんが可愛い一冊でしたね……。
編纂版(書籍版)で追加されている、アッシュ以外のキャラの視点もほとんどがマイカちゃんで、彼女がどれだけアッシュ君が好きなのか、を改めて示される形となりました。
それ以外の視点では、例えばユイカ夫人が領主一族の目線でアッシュ君の評価をするシーンや、サキュラ家の面々の間で「マイカの婿に相応しいか」を話し合う場面があったりしました。
……出自こそ寒村の農民と言うことで、かなり低いわけですが。サキュラ辺境伯領以外からも勲章をもらって、実績が十分ですからねぇ。アレがもたらした技術革新で、多くの利益も得られているわけですし。これを出自の一点で切り捨てるのはあまりにも惜しいでしょう。
サキュラのトップが、そういう建設的な判断を下せる人々で本当に良かった。今回初めてアッシュ達が王都に踏み込んで、かつてアーサーの口からも出た王都の空気を感じる事になるわけですが。
……なるほど。これは確かに。煉瓦とか新しい技術をアッシュが生み出したとしても、サキュラほど活用されることは無かっただろうなぁ、と思わされる状況でした。
まぁ、王都の人間全員がダメな訳では無くて。厳しい環境でも必死に知識を身に着けてる神官や、地方関係者だけと王都に滞在しているサキュラ家よりの人々とか、なにより忘れがたい王女様とかも居て。
今回故あって王都に向かうことになるアッシュ達ですが、いい感じに楽しんでた感じがしました。
……そもそもなんで王都に行くことになったかと言えば。サキュラ家での話し合いを通して、マイカの婿にふさわしいと認められたわけですが。
これまで態度を示してこなかったアッシュでしたが、肉体が成長したことで彼女への想いをハッキリと自覚する事になって。けれど、自分が夢に向かって突っ走る暴走特急だっていうことも自覚しているからこそ、好きな相手の傍に居られないと判断してしまう辺り、まだ理性が強い感じもしますね。
好きと言われて。でも好きと言わせてもらえなくて。涙を流しながらも、すぐさま次の手を打てるマイカちゃんがとっても好きです。
武芸王杯大会、という約5年ごとに開催される誉有る大会を利用した彼女の活躍は、格好良かったですし……終盤は終盤で可愛くて、マイカちゃんの魅力が詰まってましたね。
本来の名前で二人の前に立ったアーサーも、成長著しくて、幸せになってほしいなぁと思いましたけど。
あと、地味にスクナ子爵領のセイレ嬢好きなんですよねぇ。今回も、アッシュを外部から評価する視点が入ってましたけど。情報収集に心血を注いでいるスクナ領からすると、アッシュの暴走特急っぷりは本当に信じがたいものだったのが良く伝わってくるし、彼の優良物件さも明らかなのが良かった。
加筆で更に面白くなってますが、マイカちゃんの描写が増えた分カットされたシーンもあったのは惜しくはありました。スクナ領でアッシュ君が料理するエピソード好きだったので……。皆WEB版も読もうね!