「……あの頃があったから、いま、我々は此処に居るのです。誰にも負けない。どんなことも二人で乗り越えると、誓ったでしょう?」
冬しか存在しなかった世界で、神様が春と夏と秋を生み出して……その切り替わりを引き受けた人々が、「四季の代行者」として活動する事になった。
メインとなるのは、春夏秋冬を司る代行者とその護衛であるコンビが4つ。「春の舞」とあるように、春の二人が特に描写多いですね。
春の代行者・雛菊。彼女は、幼少期に攫われて……十年ぶりにお役目を果たす旅をしていた。かつての経験から護衛のさくらは彼女を、大事に大事に守ろうとしていますが。
過去の事件について情報が増えるごとに、他者をあまり寄せ付けず二人で行動しようとしているのにも納得できるんですよね……。
能力に覚醒した後、神話に則り冬の代行者が住まう里に滞在する催しがあるようですが。その際に冬の里が襲撃され、彼女が攫われてしまった。
それ故に、冬の主従も春の主従に対して負い目があり、沈みがちで。いや、第5章での詳細描写を想えばそりゃトラウマになるよ……。
各地に春を齎すために各地を旅していますが、その過程で夏の主従にも出会って。姉妹喧嘩してる姦しい二人の様子は、微笑ましかったですねぇ。
秋主従の描写も入っていて、幼い代行者と、仕事と割り切ってるつもりの護衛の二人。竜胆の方が、「春の代行者」について情報を知らない部外者として好き勝手言ってるのに少し思う所はありましたが。代償を払う羽目になっていたのは、誰がそこまでしろと言った……みたいな気分にもなった。
各主従それぞれ違いがあって、魅力的な世界が描かれていたので、読み始めたら止まりませんでしたね。
発売当初、TLで話題になっていて購入した後積んでしまっていたんですが、もっと早くに読んでおけばよかったと後悔するくらいには面白かったです。