「彼女達がその才能を秘めている、と?」
「さぁな」
(略)
「結局、生き残った奴が高みに行けるんだ」
百年前、魔物と称される怪物が現れて、人類の人口は激減。いくつもの国が滅び、現存しているのは7つのみ。
そんな世界で、生き延びた人類は魔法と言う技術を開発して戦い続けていた。
主人公のアルスは、六歳の時から類まれな才能を買われ最前線で戦い抜いた精鋭。順位づけされている魔法師の頂点に立つ、第一位であった。
しかし、彼にあるのは「力」だけで、領土奪還に賭けるような強い気持ちもなく……「十年間軍役を務め、一定の戦果を挙げたものには退役の自由を認める」という規約を持ち出して前線を去ろうとしていた。
いくら本人の願いは言え、1位にまでなった貴重な戦力を軍がみすみす手放してくれるはずもなく。長期休暇と言う扱いで、同世代の通う学院に在籍し、有事の際には協力するということで手打ちに。
アルスは戦闘能力だけではなく、研究の分野でも才能を示していたようで、知識を蓄える過程を楽しんでいたのは何よりでしたけど。
学院で学べるような基礎は彼にとっては意味が無く、講義にも出ないし我が道を往く彼の姿に噛みついてくる生徒も居て。
中でも貴族令嬢のテスフィアなんかは、学年トップクラスの実力と自負があったため、アルスに侮辱されたと決闘を申し込んでくるほど。
まぁ、騒動を避ける為に表向き順位を伏せているので、下に見て絡んでくるのはいいですけど……だったら彼のランクが明らかになった後は態度を改めるべきだと思うんですよねぇ。
彼の力が強大すぎて、故国アルファの若い世代が平和に慣れ過ぎていたのは……ままならない。
そういう細部がどうにも気になってしまって、微妙に入り込めなかったのは惜しくはある。アルスを慕って追ってきて、彼のパートナーに潜り込んだロキがお気に入りキャラです。テスフィアや彼女の親友のアリスにアルスが指導をしてるのもあって、関係性が変わってくればもっと面白くなりそうだな、とは思います。