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「うん。……正市がよければ、だけど」


HJ文庫公式レビュアー企画にて頂きました。

オタク男子・真園正市と、学校一の美少女・来海十色。

目が死んでると言われちゃうような男子と、クラスでも人気者で告白が絶えない女子という、真逆のような存在ですが。その実、幼馴染で。正市の部屋に入り浸ってゲームをするオタク仲間のような存在だった。

 

学校ではそれぞれの交友関係があり(正市の方はかなり狭い範囲でしたが)距離を取っていましたが。十色の方は幅広く交流していて。

告白されただの、「あの子が好きな人に告白されてて生意気」みたいに絡まれることも出て来て。それを避ける為に、幼馴染同士で話を通して「偽装恋人」として振る舞うことに。

 

ただ、それはそれで「あんな陰キャと付きあってるなら俺にもチャンスがあるかも」と増長する男子を産む羽目になったりしてややこしいですね。

そういうのに恋人ですけど? と見せつけるため、恋人らしい振る舞いを試みることにもなっていますが。それまでの親友とは違う距離感、改めて実感する性差などで意識しまくってる二人がじれったくていいですね。

 

で、正市の方も、釣り合っていないと言われていることを気にして、自分を改善する努力をするって言うのもグッド。そういう努力に時間を割かれてしまって、親友と遊ぶ時間を確保したかったのに、結果として一緒にいる時間が減ってしまって苦悶する十色も可愛い。

偽装恋人としての振る舞いをしっかりやりながらも、正市が親友としての時間も忘れていなかったのが良いんですよ。

序盤と終盤で同じようにゲームしてる場面がありますが、途中でなにがあっても二人の絆が壊れてないのが尊いと思いました。

 

……全く本筋に絡まないところですが、雑誌のフラゲに憤って「店舗の方でフラゲできないようにしてほしい」とか正市が思っていた所だけは正直許せませんでしたが。

元書店員的には、ほとんどの店はルール守ってるし、ルール守ってる書店員もフラゲに困ってるんだよ……! みたいな気持ちになってしまって、あそこで一回本閉じましたよね。

発売日を守るための流通問題とかもあるし、そもそも店舗の作業が増え過ぎて大変なんだよ! とか言いたくなりました。

まぁはい。主人公もフラゲに憤ってるんだし、同じ想いの相手に怒ってもしょうがないんですよね。知らない業界だと分からないし、分からないと見当はずれの事言っちゃうこともあるだろうし。諸々の事情とかも分かってても、その辺放り投げて一介のユーザーとしての発言することだってあるしな……。