「天使。頼む。今回だけはどうしてもお前の力が必要なんだ。俺を助けてくれ」
ケリー・ダイアナ・ジャスミンの大人チームと、リィやシェラ、ルゥ達のチームとの話が重なっていて、これまでの物語の積み重ねを感じますねぇ。
あくまで眠っているだけだから、とジャスミンの生体情報をクーア財閥の認証キーの最優先に設定していたケリーは、いい性格してます。
幹部連中はアレク以外はジャスミンの事を知らなかったのもあって「貴女にそんなことを言う権限はない」とか口走ってましたが……眠っていただけだから、財産もしっかりと継承してるので、財閥の総帥は彼女だって言うのが分かってないのがなぁ……。
まぁ、いきなりやってきた過去の人物がトップに立ちますと言われて、すぐに飲みこめるものでもないでしょうけど。
ジャスミンの、四十年ものブランクがあるため運営に口を出すつもりはないけど監察はするって距離感は、上手い落としどころだと思います。
屋敷に戻って執事バーンズと対面したり、引退したマヌエル一世の下に会食に行って……そこで辺境で起きている奇怪な事件について知ることに。
同じエリアで短期間に連続して起きた宇宙船に生じる不具合。それを調査に赴いたら、通常とは違うダイアナすら影響を受けてしまって……。
やむを得ずルゥに手助けを頼んでましたが。情報が少ない中ルゥは良くケリーたちのところに辿り着いたものです。……その過程で、連邦の中枢の人物が恐怖を味わう目になっていましたが、まぁ、うん。過去の因果が報いた結果だから……。
ルゥはケリー達が読んだ助っ人でしたが。その辺境の星に、体験学習で訪れていたリィとシェラが居たのは、結果としてはとても幸いなことだったでしょう。
機械に頼らない生活を体験する授業って事ですが……この二人にとっては、何一つ問題がない生活ですからねぇ。他の生徒よりもレベルの高い課題を課されることになって、それも難なくこなしていたのは流石のひと言。
問題への対処に必要だから、とルゥが本気で歌うことになりましたが。戦闘面を担当する女王と海賊が、彼女たちの本領を発揮できる舞台で、影響を受けてしまうのが、それほどに強い歌だと読者にも伝わってくるのが好き。
……地上で歌を鑑賞しているだけのリィとシェラは、かなり穏やかな気分だったでしょうけど。海賊が天使に向けている信頼が、とても尊くて好きです。
余談)リンクを張るためにBOOK☆WALKERで作品を確認した所、シリーズまとめてストアに登録されたみたいで、順番がバラバラです。今から紙でシリーズ購入するのは大変かと思いますが、電子版に手を出す際はお気を付けください。