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「さっきの話の続きだけどな。俺はここで真面目にフットボールをやるつもりなんだ。それを『なんで手を使っちゃいけないんだ』なんてふざけたことを言う奴に邪魔されるのは迷惑なんだよ」

 

中編「ファロットの美意識」と短編「ジンジャーの復讐」、「深紅の魔女」の3編を収録したエピソード。どれも好きで、読んでいて楽しいエピソードですね。

……まぁ「ファロットの美意識」はセントラルで起きた連続殺人事件にまつわるエピソードで、なかなか血なまぐさい話ではあるんですが。

 

連邦宇宙で育ったアネット・ヘッケル女医。

彼女は以前暴れ回った元職業暗殺者のレティシアの事を怪しんでいて……シェラやヴァンツァーといった彼の友人(とアネットは考えている)相手から情報収集しようとしますが。

 

ファロット一族の殺しはあくまで仕事であって、それを達成するために技を磨いたし、殺すときは容赦しないが、こんな真似はしない。そういう共通認識が、レティシアを嫌っているシェラからも出るのが良いですよね。

素人の犯行で「こんな下手には切れない」とか「名誉棄損って言うんじゃねぇの」とかパワーワード出てるのは笑えました。

 

レティシアは人畜無害な学生だと示すために、デートするくらい親しい友人がいるって形で示そうとしてたのは笑いましたが。

その為に借りを消費したりしてて、何か考えてそうではあったんですよね。それはそれとして、デートのためにルゥのアドバイスをもらいつつしっかりコーディネートを整えているリィは真面目です。

 

短編「ジンジャーの復讐」は、タイトル通り彼女がある映画の主役を降りることから始まる大騒動。いやぁ、ジャスミンの行った彼女を敵に回しちゃいけないってのが全てのエピソードですよね。

結果的に膿を出すことになったし、嘘は言っていないけれど真意はジャスミンの推察通りなんだろうなぁ、とも思えるジンジャーが好きです。

 

「深紅の魔女」はシリーズを読んでいれば分かるとおり、ジャスミンが主役の話です。

時間が流れ技術が発展したことで、戦闘機の安全性やパイロットの生存率なども向上したようですけど。過度にそれを重視するあまり、失われてしまったものもあって。

古の戦闘機乗りたちが、テンションを挙げてるシーンが、彼らの積み上げてきた時間とか誇りを感じさせて好き。