「それはね、多分、いつも本当のことしか言わないような人は恋愛には向いてないからよ」
(略)
「真理だ」
クラッシュ・ブレイズシリーズ完結巻。
表紙にいるファロット二人――レティシアとヴァンツァーがメインのエピソードが描かれます。
「レティシアの場合」は『スペシャリストの誇り』で描かれた連続殺人事件。犯人側の生存者として残された二コラは、結局大学を中退したそうですが。
彼が何を思ったのかレティシアに接触してきて、父親が脅迫されているから助けて欲しいと頼み込んでくる話です。どうも二コラは、レティシアがそうした裏組織の人間だと思い込んだままだったようで、力を借りたかったみたいですが。
……エピソード読み終えてから思うに、彼も父親の血が濃いなぁというか。本当にレティシアがそういう組織の人間だったら、手を借りたっていう弱みを得ることになったんだけど、その辺りの理解が浅そうだよなぁ。
先んじてリィに相談しに行って、シェラに殺されかけてましたしね。今回の一連の騒動を経て、二コラ自身は道を踏み外したりしなりしないんじゃないかと思いますが。レティシアの実験はどうなるのやら。
「ヴァンツァーの場合」のエピソードの方が好きですねー。
文化芸術祭を見る為に北半球のログ・セールを離れて南半球のグランピア大陸を訪れたヴァンツァー。帰還しようとバス停に急いでいた所、盲目の少女とぶつかってしまって。
どちらも相手が避けるだろうと思っていたための、ヴァンツァーにしては珍しい衝突でしたけど。
その際に指示装置が壊れてしまったため、彼女を家に送っていくことになって。
少女の「ママ」に頼まれごとをして、家にお邪魔して。面倒事の解決に協力したり、予定を聞かれて「空いている」と答えたり。彼にしては珍しい対応が重なりますが。
それだけこの母子の印象が良かったんだろうなぁ、と言うか。ぶつかった時のビアンカはちょっとアレでしたけど、それ以降は確かに読んでいてストレスなかったですし。短めのエピソードですが二人ともが好きになれる話でした。
ビアンカがなぜか命を狙われていて。ヴァンツァーが居たからこそ、狙われていることに気が付けたし、その理由にも推測がついて。
解決に向けて動き出したところで横やりもはいってましたけど、それにも問題なく対処できたわけで。善人が救われて悪人に罰があたる、良い出会いだったなぁ、と言う感じで楽しめました。