「また、食べに来てもいいだろうか?」
「いつも今日みたいな料理ってわけじゃねえが、それでもいいんなら、いつでも」
中学生と高校生に義務付けられた、社会体験学習。
いわゆる職場体験をリィとシェラがすることになって。隠れ家的な店の主であるジェイソンから、彼の知人のレストランに行って貰えないか、と相談されることに。
悪評がたった経緯には同情しますが……リィの言っていた「遅すぎるけど……寝っぱなしよりはましかな」という発言には完全に同意。
まずは実際に訪れて、料理を食べさせてもらってましたけど。三人が驚くほどの絶品で……ただ、しばらく閉店していたせいもあって、店内も店主の装いにも気にかかる事ばかり。
それでも聖域である厨房がしっかりと清潔にしてる辺り、料理に関しては誠実なのはうかがえましたが。あまりにも才能偏りすぎな……。
亡くなったという奥さんはサポートするの大変だったことでしょう。本人はそれに不満なんてないどころか、かなり充実した人生をおくっていたみたいなので、後悔もなさそうなのはなにより。
寂れたレストランの復興。店主の料理には問題がなくとも、強面かつ無口で意思疎通は難しい。
そんな程度の問題で引き下がるリィとシェラではなく……表紙からモロバレですけど、かつて使ったメイド服を再利用して、容姿を最大限武器にして宣伝して回るのはお見事。
同学年の生徒たちは、別の職場で体験を行っているために見学できず。先輩方やほかの学年の生徒たちが盛り上がっていたのは笑えましたね。ハンスもファビエンヌも実際足運んでるんだもんなぁ。
監督役の先生からは苦言を呈されたり、校長を引っ張って来て文句を言ったり、色々と邪魔される場面もありましたが。
逆に言い負かしてる辺りは流石と言うほかない。そんな些細な横やり以外に、店事態を目的としてるらしい嫌がらせがあったり、奥さんの遺した様々な仕掛けがあったりと、ただレストランを手伝うよりも刺激的な体験が出来てましたね。
……というかこれも、二人が来てなかったら問題が悪化していたタイプのトラブルで、二人がトラブルに飛び込んでるのか呼び寄せてるのか、分からなくなってくるな……。
リィが遺されたメッセージに気が付いていたの、機械にも結構慣れて来てる証なのかなーとか思いました。いい物語でした。