「せっかくここまで来たんだ。こんな物騒なものをわざわざ見たいなんて物好きだと思うけど、面倒は一度ですませたほうがいい」
最初に描かれた、ケリーとグランド・セブンと呼ばれた海賊たちの交流がとても好きですね……。
連邦に知られていない門の先につくった海賊たちの保養所。そこで名の知れた海賊たちが鉢合わせて。ケリーのことを評価している人と、侮ってるやつらと態度が綺麗に分かれてていっそ清々しかった。
ケリーを評価していたグランド・セブンの面々は、なるほど名の知れた海賊の仁義を感じるというか。荒くれ者ではあるんだろうけど、好感の持てる部分もある良いキャラになってましたね。
これを見ると『スカーレット・ウィザード』でケリーを攫った馬鹿どもや、ショウ駆動機関が広まってから残虐さの増した近年の海賊たちとは一線を画すというか。グランド・セブンの名に心躍る船乗りが居るのも頷ける。
そして彼らはケリー・クーアの正体に気が付きながらも表社会に漏らすことは無かった。かつての縁に対する義理と恩がある。そんなケリーの前で「二代目シェンブラック海賊団」を名乗ったのは、あまりにも愚かすぎる。
……と思いましたが。トゥルーク近郊の宇宙に生じる「異常」はダイアナですら判別不能のもので、逃げられてしまったのは痛い。とはいえ、ケリーが絶対逃がすはずもなく。残り僅かの余生を楽しみな……って気分になりました。
調査の過程で知り合ったミラン中佐に連絡をとって、貴重な情報を送ってた場面。その報告をきいた他の面々のリアクションも含めて笑えましたね。
そうしてケリー達が海賊のことや、トゥルークに関わるきっかけになった薬物に関して調査を進める傍ら。
トゥルークの僧侶たちの間でも騒動が起きていて。ルゥの「感想」を聞いたアドレイヤが、彼らにとっての神を見た事。その神様が還俗した彼の両親に言及したことを、評価しようと提言したものの……それを認められない勢力によって地位を追われそうになって。
ライジャからの依頼を受けて、リィ達もトゥルークを訪れることになってましたが……まさか、ここにきて麻袋が活躍する場面が再び訪れようとは。デルフィニア戦記、読み返したくなりましたね。