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「ダリヤ・ロセッティは、一人で立っている」

 

BOOKWALKER読み放題にて読了。期間限定タイトルで930日まで。

王城に正規納品に赴くにあたって、しっかりと礼儀作法を学ばねばならない。父親が男爵でこそあったが、ダリヤは庶民。友人となったヴォルフは貴族でこそあるけれど、魔物討伐部隊に所属している期間が長く礼儀作法は最低限しか抑えてない。

そのため、魔導具師のオズヴァルドから教わることになったものの……丁寧に教えてくれるのはいいけど、紙束ドーンはちょっと圧があるよね……挿絵になってて笑った。

 

師匠でもある父親が早くになくなったこともあって、ダリヤは魔導具師として抜けている知識があった。

礼儀作法を習う場の会話でオズヴァルドはそれを察知して。「オズヴァルドの判断するカルロの後継者」くらいには育ててくれる、という契約を結べたのはダリヤの糧になるでしょう。

……現状でも前世の知識とかを活用して開発バンバンしてるのに、稀少素材の扱いとかを覚えて一段上の技量を身に着けたらどうなってしまうんだろうか。

 

その後もダリヤは開発を続けて、微風布とか遠征用コンロの改良とかをして、魔物討伐部隊との縁を深めていってますしねー。

ただ、急速に近づいたことで疎む輩もいるというか……財務部長に嫌みを言われて、商会長として、魔導具師としての己を貫き通してみせたのはお見事でした。うつむかなくなった彼女だからこそたどり着けた場所ですよね。

 

商会員になったイヴァーノが「貴族の流儀」の殴り合いに巻き込まれて、成長しなくてはと決意する場面があったりもします。

貴族、面倒臭いなぁ……。ダリヤたちの味方になってくれる人も居て、不利益ばかりってわけでもないですけど。権謀術数よりもダリヤの開発模様の方を楽しみたい。

……とはいえ、発足したばかりの商会がバンバン開発してることでそういう争いが起きない筈もないから、バランスは難しいですけども。

 

巻末がカルロ視点エピソードで、声渡りの魔導具という声色を変えられる発明品に関してはほのぼのとしましたけど。

カルロの腕を買って、昔から接触してきていた人物がいたこと。生活に役立つ開発をしたいと断り続けていたものの、相手が諦めなかったこと。

妻の手を離したのと同じように、当たり前が続かないことを知っているからこそ、方々に貸しを作り続けていたという彼の想いを知ると、胸に来るものはありますなー。