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「腕のいい魔導具師になるのに、最も間違いのない方法を教えましょうか?」

(略)

「学び続け、長生きすることですよ」

 

BOOKWALKER読み放題にて読了。期間限定タイトルで930日まで。

ダリヤの友人であるマルチェロ・イルマ夫妻が子宝を授かったものの……魔力差によって母体まで危険な状態にある、ということで。自分がいくら説得しても聞いてくれないと、マルチェロがダリヤに泣きついてきたけれど、魔導具師である彼女は諦めることを知らず。

ヴォルフも、魔導具師としての彼女の決断を支持してくれたのは良かったです。

 

マルチェロは後発魔力でかなり高い値を出しており、実は花町に居た母と彼女に入れ込んだ貴族家の男性の間の子だった、なんて事実も出て来て。

ダリヤは先生と仰ぐオズヴァルドの協力を求め、ヴォルフは兄に相談し、それぞれが足りないものを補い合って、必要な魔導具を作りだせたのはほっとしました。

その過程において、ダリヤとトビアスの和解……というか。抱え込んでいたものを全部吐き出して、しっかり別れられたのは良かったですね。

 

トビアスが自分のしたことを重く受け止め、「魔導具師として生きる以外、責を返す方法が、ありませんので」と意地を見せてくれたのも、まぁ最低限の矜持は残ってたのかと安心はしたような。

全て今さらだよ、と思う部分がないとは言いませんが。当事者間で話がついた以上、横から口出すのは野暮なんだよなぁ。

 

イルマの無事が確保されたけれど、マルチェロの立場も変わって。

彼の父親に関してグイードが零してくれた情報が、結構好きですね。決して見捨てたわけではないというのは、良かったなと思いましたけど。結末が悲しいものになってしまったのが、残念ではあります。

新たな商会員を迎え入れて、かかわりのある工房との懇親会を開いてたりして、楽しそうなのはなにより。フェルモがしっかり、以前の「お返し」をしてくれたのも痛快でしたしね。

 

巻末はカルロ視点。レインコートを作るために「軽くて、薄くて、しっかり防水してくれる布」を求めた娘に「無茶をおっしゃる」と零してる父の苦悩が伺えて笑えた。

……のは良かったんですが。ある目的のために王城で受けた仕事。それは、弟子二人を守るためのもので……。

カルミネっていうダリヤの開発を尊敬する魔導具師との良い出会いもありましたけど。そこでした無茶で身体を壊して、死期が早まったんだから、もう……。