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「僕の名はアレン。誰よりも慈悲深き狼族のナタンとエリンの息子です。これより、皆様を煉獄にご案内いたします。よろしいですね? リチャード・リンスター次期公爵殿下?」

 

オルグレン公爵家の息子たちは、王家の推進する実力主義が気に入らず、他所の手を借りてまで反乱を決意して。

屈指の実力者っぽい教授たちを誤魔化せる文書偽装技術を、聖霊教が持っているってのはかなりヤバいでしょう。それを「素晴らしい」と称してしまうグレック君の器も知れるけど。

 

いや、確かに技術的には凄いですけど、それだけの技術があって敵を陥れる為に使ったとなれば、万が一謀反が成功した後の付き合いに禍根を残す事間違いないでしょう。信用できない隣人を御せるだけの器量もなさそうだしなぁ……。

 

とは言え、そんな事情はまだ主要人物たちは知らず。アレンは微妙に引っ掛かりを覚えて、何人かに相談はしているようでしたけど。

前半分は、サブタイトルにある「王国動乱」前の最後の平穏、みたいな感じで日常回ですね。4巻エピローグの時点で波乱は確定してたので、もうちょっと早く進行するかと思ったのでそこは意外。

 

……いざ事件が起きてしまったら、そんな事も言ってられない混乱が巻き起こるわけなんですが。

反乱したオルグレン一門も、それに与してる聖霊教もクソですが。獣人の族長たちも、自分たちの街が戦場となっているのに随分と悠長で、現実が見えてなくてちょっと頭痛くなりましたね。

アレンがリチャードや近衛の有志と一緒に戦地に立ったのは格好良かったですけど、そこに至るまでに獣擬きと言われた彼の傷も見えて辛かった。どうか無事で。