「……おかえりなさい」
「……うん、ただいま」
オルグレンで行動を起こした公子殿下たちは、本当に視野が狭いというか。自分たちが信じたいものしか見えないんだろうなぁ。
隔離されているギルが、アレン達の傍にいて鍛えられたというプラスがあるとはいえ「東方で微睡みすぎたんだ」と的確に状況を把握してるのに比べると、あまりにも救いがない。
こんな連中に国を荒らされて、多くの犠牲が出てるのかと思うと……その裏で好き勝手してくれてる聖霊教にも物申したいですけどね。
でもそれはそれとしてカレンが西へ駆けた結果、『古き誓約』に行動を起こしてくれた人々が居るって言うのは、熱い展開で好きです。
白紙の手形で東都の開放ではなく、アレンの救出を願ったあたり、最後の最後で獣人の誇りも失われなかったんだなぁとは思います。
……でも、そんなの関係ないと自力で出てきてしまう辺りがアレンだよなぁ。
しかし隔離されて以降の情報なんて外部から分かるはずもなく。「死んだだろう」という情報を得てしまったリディヤが、更に苛烈になるんだからおっかない。
そして、この世界における忌み子とは魔法を使えない子というだけではなく……公爵家がアレンに感謝する理由の一つでもあるようですけど。この時期に、北と南にそれぞれ忌み子が生まれてたことには、運命を感じてしまうなぁ。
王都の東西南北全てに波及した謀反、その決戦の場所は東都。
一部戦力を転移で送り込んでくれたおかげで、暴走したリディヤへの対応も出来ましたし。
敵の最後の攻勢にも備えることが出来たのはありがたかった。
アレンが誰かに助けを求められた、というのもかなり大きいと思いますね。それにこたえてくれた人の多さと熱さよ。
多くの血が流れたけれど、アレンが無事に帰還し彼を待っていた少女たちと再会できたのにはホッとしました。……聖霊教に巣食ってる奴の厄介さが上がる描写が最後にあって、不穏ではありますが。無茶しまくったんだから、少し休んでもらいたいところです。