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ある人が、なぜそこまで面倒事を起こすのかと聞いた。

答えて曰く。

「やりたいことの為に必要なのです」

 

BOOKWALKER読み放題にて読了。期間限定タイトルで1231日まで。

七章「海賊の宝」、八章「家出息子はフルーツ味」。書き下ろし「アルの初恋」、「母の愛」を収録。

 

ペイスが取り持ったレーテシュ伯爵とセルジャンの縁談。かなり好感触だったようですねぇ。ペイスを評価してくれてる御仁ではありますが、南方地域の雄としては自身の影響下にない発展は面目が潰れるので対応が必要だ、と。

とは言え打てる手も限られてるから、軍事面で協力する。その際にセルジャンの婿としての価値も測る。一手でいろんな思惑を織り交ぜてくる出来る人なんだよなぁ。

7章エピローグあたりでも、ペイスを上手く動かして利益を得てますし。地の文に在る通り、今回は一本勝ちかなぁ。お見事。

 

若くして活躍しているペイスを懇親のために招きたい、という手紙が届いて。

港町を有するために無視できない存在ではあるが、様々な問題が重なりかつての権勢が曇っている家。後継者がペイスと同年代というのもあっての声かけで、モルテールンとしても港持ちの家との縁は貴重ということで参加。

 

そこで海賊被害についての相談を受けて、協力する事に。手土産として前払いされた魚介類をペイスが料理した結果、取り合いに発展して父親から「絶対成功させろ」って念押しされてる下りは笑えました。

実際に成果を挙げて裏側で蠢いていた思惑も含めて叩き潰す辺り、流石と言うほかない。

 

8章ではついに行商人のデココが領内に店を構えることを決意して、スタッフを領内で雇うことに。

そんな彼にペイスが推薦したのはパン焼きを担当していた女子サーニャ。なんと挿絵貰ってるんですが、可愛い子でしたねー。

そして可愛いだけにしたっている男子もいて、ちょっと暴走してしまうわけですが……その結果、隣国からモルテールンの発展の秘密を探ろうとしていた集団にぶつかるとか、どんな運だ。

 

そして父親が時間稼ぎしている間に、敵の本丸に飛び込んで交渉纏めてくるペイスが怖い。移動手段が馬車とかの時代に【瞬間移動】してくるなよ……。いや、実際瞬間移動の魔法を会得してるのはカセロールですが、ペイスも使えてる時点で、ねぇ。

一通り読み終えた後、なろうの方でも見て来たんですがそちらに短編集置き場があって、Re:Re:越境者」という、カセロールたちの反応を補足するエピソードがあったのでオススメ。

 

「アルの初恋」は、モルテールンの従士になったトバイアムの息子の話。3巻で任じられた時に「ようやく嫁と子供を呼んでやれる」と言われてた時の子ですね。彼ら家族が、モルテールンの領地にやってきたときに、恋をしたそうですが……中々難敵に見惚れてしまったなぁ。

「母の愛」は、ペイスがまだ五歳だった時の母アニエスの話。熱に浮かされた息子のために、手を尽くした行いはまさしく愛でしたね……。