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「戦わずに勝つ。言うのは簡単ですが、容易なことではありません。やはり人が人である以上、ぶつかることもある。そうなった時の方法を、教えるのが僕の仕事でしょうね」

 

BOOKWALKER読み放題にて読了。期間限定タイトルで1231日まで。

二十三章「学生たちには飴と鞭」、書き下ろし二十三.五章「飴細工の今後」を収録。巻末おまけがコミカライズ最新話(16話)と電子SS「マルクの相談」も。

 

代行として領地で慌ただしく過ごしていたペイス。各地から商人や貴族がやってくることが増え、接点の少なかった西部の人物が文化の違いから揉めるのが面倒ですなぁ。

それでもしかりと職務をこなしてましたが、モルテールン家が目立つのを良く思わない存在は居て……。

ペイスを領地から離すため、寄宿士官学校の教官として招くという提案をしてく貴族が居て。彼ら、別派閥に居るだけでペイスの実力は認めてて、どうせなら閉じ込めて自分達に利するように使おうとしたわけですが。

 

もう序盤の時点で、絶対思惑通りに進まないと思ったんだよなぁ……。

ペイスも面倒事に巻き込まれて腹立たしさを感じてたから、意趣返しくらいはするだろうし。

呼びだしたくせに説明もろくにしてくれなかったので、スクヮーレから情報収集をして。根回しにも協力してもらって、他の教官が持て余してる人材を移動させてもらって、とりあえず教師としての体裁を整えて。

幼い容貌(実際若い)も相まって、初対面の時は突っかかられてましたが、実力で黙らせた辺りはお見事でした。

 

その後も、これまでの常識とは外れつつも前世知識によって底上げされた知見は生徒たちに大いに影響を与えていって。

成長著しすぎて、教官の中から彼を排除しようと暗躍する輩まで出たのは、どうしようもないというか。

ペイス以外に影響を及ぼし過ぎる妨害工作をするのは、阿保でしょう……。

教えを受けた生徒たちが妨害にめげず卒業試験に向き合って、駆けた姿勢は評価したい。で、一年で見事影響力を増やして卒業生を確保したのは見事だなぁ。

そういう功績を挙げつつ最後に製菓でとんでもないもの作って怒られる辺りがペイスです。

 

書き下ろし二十三.五章「飴細工の今後」。

ペイスの教育を受けた生徒の一人、デジデリオ。彼は研究所に就職したが故あって左遷部署に追い込まれた。そこは、魔法を汎用化するっていう実用化できれば歴史になお残しそうな技術を研究していたものの、成果が上がらず寂れていた。

デジデリオがそこに配属されたことで、次につながりそうな貴重な縁が出来たので今後が楽しみ。

電子SS「マルクの相談」は、ペイスに恋占いをしてほしいとマルクが依頼して来る話で……分かり切った未来を予想できない辺り、まだ青いなぁ。