「自分は貴様ら市民を守るために賃金と地位を与えられている。好かれぬからといって守らぬのでは道理に合わぬであろう。それが菓子ひとつ足りないという、取るに足らんことでもだ」
シアカーン戦後に開かれたザガンの誕生会。
王として陣容を整えていたザガンに加え、ネフィにフォル、シャックスまでもが新たな魔王になったというのは凄まじいですよね。記憶を失っているとはいえフルカスも居ますし、魔王5人が一つの派閥に与してるのって中々に珍しい光景なのでは。
バルバロスやキメリエスといった魔王候補も多いですし、次の魔王もまたここから排出されても驚かないぞ。
14巻は短編集ですね。誕生会の様子を間に挟みつつ時系列の違う、いくつかの恋の話を盛り込んでいていつも以上に甘い仕上がりになっています。
例えば「幽霊屋敷のドッペルゲンガー」。本編10巻直後のエピソードで、アリステラ戦後に不調をきたしたバルバロスの研究室で起きた、不思議な出来事。
……バルバロスがポンコツに弱い原因を見た。あれだけ罠張られてるのに懲りずにザガンのところから本盗み出してる辺り、腕はいいんですよね本当に。
それ以外にも、魔王となったシャックスが今までなかった2つ名を定めるシーンとか格好いい場面もあるんですよね。
あと、黒花相手にしっかりと関係を詰めたのも偉い。明言されてないのでは……? と疑問を抱いた瞬間を多くに見られて、ようやくともいえますが。そんな2人の様子を描いた「黒猫カプリチオ」は糖度高くて良かった。
ラーファエルが黒花を養女として迎えた原因が分かる「私が黒猫を娘にした理由」も、他の短編とはまた味わいが違っていて良かったですねぇ。
昔から不器用だったんだなぁ……というのは、本編初登場時から分かり切っていたことですが。所々で笑いを挟みつつも、切ない気持ちになれるのはラーファエルならでは、かな。
最後にザガンとネフィのデート回「魔王の休日」があるのも、いいオチでした。
隙を見つけてバルバロスが嫌な予感を感じで逃げるシーンは正直愉快だったし、その後シャスティル相手に失言してたのもなお笑えた。
ネフィ関連すると箍外れるからなぁ、ザガン。ネフィもか。お互い大事にし合ってるのが伝わって来て尊いってこんな感じかなぁとか思います。