「それで、結婚はいつにするつもりだね?」
「学園を卒業し、そこから一年ほど様子を見てからにしたいと考えております」
俺はそれまでに、この世界を救ってみせる。
勇者ならざる身で何人もの魔族を葬ってきたルーグ。
その中でも蛇魔族のミーナとは、背中にナイフを隠しつつ表では協力している状態でしたが……約束していた情報提供がなかったことで、信頼関係にひびが入っていた。
そんな状態で呼び出されて、本拠地まで赴いてましたが……いやぁ、ミーナ自身が人間社会に潜り込んでた時点でアレでしたけど、なかなかに悪趣味ですこと。
彼女は残っている自分以外の魔族3人は厄介な戦力だ、と言いますが。見えてる範囲だと手をあちこちに伸ばしまくってる彼女の方がおっかないんだよなぁ……。
ミーナが欲しがっている生命の実を、前回の騒動で得てしまっていたり、ルーグの前には問題山積ではあるんですが。
それはそれとして女性陣との関係が良好なのは何よりですね。デートやらキスやら、済ませる事自体はやってましたが。今回さらに、しっかりと指輪を送ることで婚約関係を明確にすることにして。
宝石の加工すらしてしまうのは、万能過ぎて言葉もないというか。……こっちの世界だったら魔法があるから、地球じゃできない細工も出来るよ! って普通は出来ないんだよなぁ……。
両親には歓迎されたしヒロイン達も喜んでくれたのは何より。
……でも、魔王復活に向けて魔族が動いている世界では、良い事ばかりは続かないんですよねぇ。
公爵令嬢ネヴァンから、世界最大の宗教アラム教の教皇が魔族になり替わってるため暗殺してほしい、という依頼が持ち込まれて。
難易度が極めて高いけれどそれが必要であるのならば、と行動に移せる辺りは仕事人って感じで格好いいですねー。アラム教のトップが乗っ取られてましたが、ルーグが潜入した所それ以外も腐ってる気配がありましたし、この世界わりときわどいバランスで保ってる感じが凄い。ミーナみたいに人間社会に潜り込んでるのもいるし……。