「お料理はね、『おいしい』がすべてなの。料理人の評価は、その一皿が満足してもらえるかどうかだけなんだよ」
BOOK☆WALKER読み放題にて読了。
憧れていた料理人の父が病に倒れ……不幸が連鎖し多くを失った料理人の女性、前島栞が主人公。
孤独と失意の中で彼女は、「リゾート地の料理人」を募集する求人に飛びつき、あちこち不審なところのある説明会を経ても意思は変わらず……異世界で、料理人として働くことに。
冷静な読者目線だと、もうちょっと疑って! 場合によっては詐欺よそれは! みたいな気分になりますが。まぁ、あらすじの時点で異世界転移系なのは分かってはいるんですけども。
そうやって異世界に赴いた栞は、王子から誓約者として認められ言葉を解するようになり、異世界の食材に最初は難渋したものの1年経ったときには、弟子2人を教えながら慕われる料理人になってるんだからお見事です。
王子がプリン好きだから毎日のように作ってるけど、美味しい卵を割るのに杵のような専用ハンマーが必要になったり、異世界ならではの苦労していて見てる分には楽しいです。
栞が真摯に仕事に向き合ってるのが好きです。彼女が嫌がってるのにガツガツくるグレンダードとか、どうにも好感度低いキャラとかいるので、読んでて時々引っかかるのが難ではありましたが。
王族が彼女の働きを正しく評価してくれてたり、栞自身は新しい食材の扱いを楽しんでてどん底から浮上出来て良かったなぁみたいな加点もあるので、総合的には良作ってところに落ち着くのでは。