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「心配しなくても、充分優先してもらってます。だって私と一日中一緒にいてくれますし」

「おれが一緒にいたいからな」

「あと私のために変節しなくていいです。王であったころから、そういう貴方のことが大好きですよ」

 

16巻で完結した『Unnamed Memory』。その本編後の時間軸を描くエピソードですね。

感想記事にはネタバレも含まれますので『Unnamed Memory』を読んでない方はご注意を。

 

同じく電撃の新文芸から刊行された『Babel』は、『Unnamed Memory』から300年後の物語となっていましたが、ate1巻はUM6巻~Babel1巻の間の時間軸を描いています。

作者様サイトなどWEB版を知ってる人向けに言うと、「双頭の蛇」などが収録されています。

 

以下詳細感想。

 

いやもう、カラー口絵からして破壊力高いですよね。オスカーが繰り返しティナーシャを着せ替え人形にしている気持ちも良くわかるというか。麗しい……。

エルテリアを砕いたことで、人の理から外れた逸脱者となった2人。冒頭は禁呪を抑えた関係で不安定になったティナーシャが、自分たちの立場について自覚する話だったんですが。そのメッセンジャーがルクレツィアと言うのがにくい。

 

今回も断片的に描かれてますが、最古の魔女である彼女は色々と秘密を抱えているんですよねぇ。

UMateはあくまでオスカーとティナーシャをメインで描く予定なのか、2人の子供たちも登場はしますがWEBからすると割愛された部分とかもありますし。ルクレツィアの情報も、コレだけだと完全には分からないんですよね……。未書籍化の『Rotted-s』とか読むと面白いですよ。

子供達のエピソードも、カクヨム公式連載の方の『Unnamed Memory』のページ(https://kakuyomu.jp/works/1177354054892436933)で発売記念SS『新しく始める前に』が掲載されたりもしてて、描写が増えてる部分もあります。

作者様サイト「noseen flower」内には、ほかにも子供達のエピソードはあるんですが……書籍化による加筆で分かりやすくなってる部分も多いので、今すぐ手を出すべき! とオススメして良い物かは悩ましい部分もありますね……。

 

狂い刃のエピソードとか、nsf内のSSでちょっとだけ触れられてたんですよね。でも、あれがどうやって生まれたのかとか、どんな仕組みで動いているかとかは書籍で詳細が語られた形になってますし。

 

この世界で生まれた呪具として、外部者の呪具を砕く役割を与えられた2人。

オスカーは王位を息子に譲ったのち、死を偽装してティナーシャとその探索に入るわけですが。

大陸が広いということや、異能が存在するため「不可思議な噂イコール呪具ではない」という状況下では、この2人でもサクサク破壊して回るというわけにもいかず。

 

いざ目の前に転がってくれば大体対処出来てしまうのがこの2人でもありますが……。かつてUM本編において、オスカーがアルカキアの毒を食らったように、2人も完全無欠の存在ってわけではないんですよね。

逸脱した2人は不老であっても不死ではなく、喪失を重ねて永い永い旅を続けていくことになるのです。その始まりを描いているのが、「狂い刃」~「双頭の蛇」なわけで。

 

比翼連理の相手を失い、気落ちしまくっている様子はとても胸が痛くなります。その後、再会が叶った時の、これまでとは違ったアプローチをしている様子とかはとても微笑ましく見えていいんですけどね。

UMは本編後が本番、と言うのはこの逸脱後のエピソードの濃さが大きいので、ate2巻以降続いてほしいものです。