「テオ先生を見てるとな、料理人は生涯修行だって言う基本中の基本をいつも思い知らされるのさ」
ついにシティで営業を開始した「テオドール・ダナー」。
あくまで本店が改装工事をして言える三か月間の期間限定であること。そして後任が誰になろうとも、テオドールと同じ料理は出せない。
そんな事情が重なってルゥはお客さんに、店の住所などの情報を公にしないことを求める誓約書を用意していましたが……いい仕事をしてると言わざるを得ない。
まぁ、訪問するお客さんは地位が高いだけあって我が強く、食って掛かるような人もいましたが、軽くあしらってました。
店の方は概ね問題なく進行してるようですが。テオドールが去った後の店に残るスタッフたち、特にテオドールの後継者として見られる料理長の立場を争う若手2人は流石に可哀想になったな……。
そりゃあ血の気くらい失せるってものでしょう。それで諦めず看板となる料理を開発しようと頑張る気骨があったのは何よりですが。
彼らの師匠、肉料理で名を馳せたザックが、テオドールの技量を見て「嬉しいじゃねえか」と言ってのけた向上心は凄まじいと思いましたね。
リィとシェラも学業の合間に応援に来て、料理は出来ないけど解体が得意なリィが「親方」認定されていたのには笑ってしまった。
料理と「店に置く美術品の審美眼」は冴えわたってるテオドール。彼の選んだ品の確かさは、お客さんたちの反応からも確かで。それらの品に負けないと思わせる料理を出したのは流石です。
……連日『暁の天使』を持ち出される美術館の関係者の皆様の心痛は、本当にいかほどかって思いますが。ゆ、行方不明になってた品が見つかったのは良かったですね! 問題は借りられるかどうか……。