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「ある。とてもある」

即答だった。俺を天に掲げるようにしてギュッと握るその姿は、凛々しくさえあった。

「私は、強くなる。絶対」

 

BOOKWALKER読み放題にて読了。期間限定タイトルで531日まで。

タイトル通り、異世界に転生したら剣になっていた主人公。前世で事故に遭あったことは覚えているが、名前などの記憶はおぼろげで……。

混乱している中誰かから「これから大変だろうが、頑張れよ」と声を掛けられて。

 

剣の肉体に人の心。目なんてないはずだが、不思議と周囲の状況は把握できる。周囲に人の気配はなかったため、この世界がどんな世界なのかって言う情報は入ってきませんが。

そんな中で、出来ることをやって行くことになります。まぁ、剣ですから周辺の魔物を狩っていく、っていく形ですね。

スキルや魔法が存在する世界で、念動で自分を浮かせたりしてソロ討伐をする剣。……目撃者がいたら怪談にでもなってそうですな……。

 

そうやって魔物を狩っていく中で、魔石を得ると自分の能力が向上する事が発覚。

魔物を討伐し、特に格上相手に負傷しつつも生き延びて。ある程度自信がついたところで、最初にいた草原から出てみたところ、それが罠だった。

後に分かるんですが、草原の外に広がっている森は魔力を阻害する作用があって、うっかり刺さった後、自力で脱出できなくなってしまったのは脇が甘い……。

 

息抜きのソロ狩りも出来なくなり人恋しくなったある日。

彼の近くで魔物に闇奴隷商が襲われる事件が発生。その中に居た黒猫族の少女フランと剣が出会った事で、物語が本格的に動きだします。

人の心を持っているが剣であるから、戦いに使ってほしい主人公。

 

そして成長すると進化できるハズの獣人族の中で、進化した記録がない黒猫族は下に見られている。それでも進化方法を探す者はいて、フランもまたその一人だった。

元奴隷と異世界人と言う事で、常識に疎い部分はありますけど、戦闘能力に関しては中々のコンビが誕生することに。

戦闘に関しても過保護な剣と、前のめりなフランでは方針が異なる場合もありますが。戦場に身を置くなら厳しさも必要だ、と剣が覚悟決めたシーンは好き。あと、終盤の「勝利」って言ってガッツポーズ決めてる挿絵も。

 

巻末にはBOOKWALKER限定書き下ろし特典として「フランと出会った次の日の夜食~トルティーヤ風ハンバーガー~」を収録。

タイトル通り、出会った直後フランに解体を教えたら集中して作業を始めたので、待ち時間に料理をすることにした剣こと師匠の話。

今度は師匠が料理に集中してる間に、フランが近づいてきて。速攻で食べた後おかわりを要求されるって一幕もあったりして、ほのぼのしてて笑えた。