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「……当家に喧嘩を売ろうとしている人間がいるらしいのです」

(略)

「当家としては、眼には目を持って償い、歯には歯でもって償っていただこうと思っております」

 

ペイスが山を消し飛ばした影響で、モルテールン領は連日雨が続く春となったようで。シイツなんかは高い気温と湿気に文句を言ってましたが、砂糖などの育成にプラスだからと喜んでる辺りペイスはぶれませんね。

龍の素材を抱え込み、さらにはオークションで儲けたモルテールン家は敵も多いけれど、だからこそ人が集まっていて、トラブルも起きているとか。

 

そんな中王都に要る父親から呼び出されて、仕事を振られることになります。厳密にはカセロールの上役にあたるスクヮーレからペイスの力を借りたいから貸してほしいと頼まれたみたいですけど。

なんでも隣国の王子生誕を祝う会が盛大に行われることになったそうで、近隣諸国からかなり格の高い使節が訪問する運びとなったため、神王国としても侮られないために王子を派遣する事になったとか。

 

とは言え神王国の周囲はどこも過去争った事のある仮想敵国であり、王子を気軽に送れる場所ではなく護衛として大隊をつけることになって。ペイスもスクヮーレの要請の元、同行する事に。

その間領地が手薄になるため、カセロールが大隊長として派遣されることになったり、国内でも色々人が動かされて。

 

モルテールンの両親が故郷に居て、フォローができるタイミングでリコリスが完全に身内になったと示すために、彼女の名義で社交の主宰を務めてもらうことになったりもしてます。今回の描き下ろし「第三十.五章 リコリス奮闘記」はまさしくその社交について描いた話になっています。

 

仕事ではあるけれど、隣国への派遣に戸もあってみたことのないフルーツなんかを見て、楽しみを見いだしているようですけど。

厄介なペイスが領地を離れたタイミングで、ちょっかいを出してくる連中が居るんだから懲りないなぁと言いますか。モルテールン家なんて、絶対敵に回したくないですけどねぇ。

国内のパワーバランスだったり、諸外国としてはモルテールンの勢いを放置できないってのがあって、何がしかの策略を練らないといけないのも分かりますが。

謀略の気配を察知してからの行動が早すぎるんですよねぇ。読者目線ではある程度予想できた結末でありました。合掌。