「才能がないから、なんだよ? 俺は最初から今ある剣術を極めようなんて欠片も思ってない。自分の身を守るための剣術をただ楽しいから作ってるんだよ。カリルはただ、才能がないのを言い訳に剣をやめた自分と傷をなめ合う相手がほしいだけだろうが。人の努力に水を差して中途半端に終わらせるように言ったかと思えば、利口ぶって他の道を探せだと? 腕一本でも触れるような剣を作ってから抜かせよ、半端者!」
WEB既読。
主人公のリオは辺境の山村に生まれた少年。そこには剣術道場があり、ある程度身体が育ってから通う事になっていた。
この世界には邪獣っていう魔法を扱う害獣が現れるため、自身や村を守るために戦闘技術が必要だから、っていう理由なんですが。
いざリオが通ってみたら、先輩たちは最初の走り込みをサボってるし、それを師範に指摘しても治そうとはしない。オマケに論点をずらしてリオを言いくるめようとまでしてきて……。
あまりにもアホくさくて、リオは道場に見切りを付けます。
両親にもありのままを伝えてましたが、反抗期だと思われたりしてるのは悲しい所。お年頃なんだね、うんうん。という冗談はさておき。
実際リオが見切りをつけたのも納得しちゃうくらい、道場の空気緩んでるというか。門下生の中に技術を笠に着て慢心してるの居るし、そういう奴に限ってリオに定期的にちょっかいかけてくるしで、緊急事態に本当に役に立つのかって思うんですよねぇ。
読者目線だと直接目にしたリオの判断が正しいと思うんですがね。実際、後に一部から不満が出た時リオが口にした正論を、村長も内心で認めるくらいには。まぁ感情が絡む問題にも発展して、理屈だけじゃ解決しないんですが。
道場には通わないことになったけれど護身のための術は必要だということで、リオは走り込みに加えて、自分にあった剣術を作ろうと試行錯誤を開始します。
村の片隅に棲む、片腕の元冒険者カリルからのアドバイスを貰ったりして、少しずつ形になっていくのは楽しいですね。身体強化魔法なんかも教わったりしてましたが、リオは他の人に比べてその上限が低かったり、既存剣術の才能がなくて。
一度挫折したカリルと意見がぶつかることもありましたが、なんだかんだで上手くまとまって良かった。
まぁそんなほのぼの修行譚だけで終わるはずもなく。邪獣が出る山に故あって入ったリオが、記憶を失くした少女を保護したり。
山を調査するために冒険者がやってくるんですが……WEBにはいなかった新キャラが混じってて、それがもうやたら胡散くさかったりして、厄介事起きる気しかしないというね。
案の定黒幕側の人間で、かなり引っ掻きまわされちゃいましたねぇ。
新たな因縁が生まれたりしてましたけど、リオの本質を見抜く眼は健在なので、これからも頑張ってもらいたいところです。