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「ぜんっぜん! あたしはただ

 修の一番カッコいい顔 見てもらおうと思っただけだよ」

 

職人の町にくらす金髪ギャルしいなには、幼馴染の恋人・修が居た。

彼は槌起銅器という、槌で銅板一枚から様々な形を作り出す技術を修めた職人だった。大学生のしいなより歳上ではあるものの、職人としてはまだまだ発展途上の段階ではあるようですが。

そんな彼が唐突にしいなに求婚してきて。テンパって思わず逃げ出しちゃうしいな可愛いですけど、修はちょっと言葉が足らなすぎる……。

 

どうも読み進めていくと、彼の祖父も父もまた同様に口数が少なかったようですけど。

しいなと共通の知人である職人・咲は「じいさんから三代に渡る切実なコミュニケーション不足」なんて評価されてました。

そもそもしいなからして、修の事を妖怪銅叩きとか言ったりしてますしね……。

で、しいなが逃げだしてしまったのも結婚するのが嫌だから、とかじゃなくて突然過ぎて驚いた部分が大きいようですし。最終的には婚約と言う形で落ち着いてましたが。

 

なんというか見ていて微笑ましい2人だなぁ、と思います。

第六話とか、「このままじゃ銅を打つだけで一生が終わるよ!」ってしいなが激を飛ばすシーンから始まるんですが、別にそれでいいなって顔してる修が笑えます。

ちなみにこの発言の真意は、たまにはデートしようぜってお誘いなので、本当にもう可愛い。

 

そんな2人の微笑ましさだけではなく、修の職人としての成長もテーマの一つなんですかね。……まぁ成長しないと、いつまでも結婚できないからな……。

修の父親もまた銅器職人だったようですが、4年前に事故で亡くなっていて。

父親が作った銅器の修理依頼が持ち込まれて、それを通して父親の事を思い出し銅を打つ自身を喪失しかけてる修でしたが、そんな彼の背中を押してくれる婚約者がいて本当に良かったなーって思った次第。