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「――大事だから、失いたくなかったんだ」

 

プレイしていた大連射をついにクリアできた高村。

それには確かな喜びがあったが、終わってしまったという喪失感も伴っていて。そこに先人の竹さんから「ここで降りるかどうか」なんて問いかけまで加わって。

目標を達成できたけれど、まだまだ人生は続くわけで。彼の悩みは尽きない模様。

岩田とすれ違い、彼女の隠していた事も目撃してしまい、踏み込むのかどうか。自分の秘密も打ち明けるのかどうか、と言う問題の答えも出てませんしねぇ。

 

まぁ竹さんの方も、ファーストプレイワンコインクリアという目標を掲げて、近く発売する「大連射2」に挑むことを決めていたようですが……その矢先、制作会社の倒産が決まったことをしって。

硬派なシューティングゲームを作る会社は減っている中、竹さんにとっても思い入れのあるタイトルを作って居た会社の終わり。それを見送り、同社最後のアーケードになる「大連射2」に挑む心情はいかほどだったろうか。

 

アーケードのゲームなんて、形に残らないものの極致でどこか歪んでる。けれど「歪むんだったら、とことん歪んで無駄なことを極めるのも、粋というものですよ」という竹さんの事、好きだなぁ。

長いこと彼の隣にいる麻美が高村に語ってくれた過去を思うに、竹さんもまたかなり不器用度高いですけど。そういうキャラわりとツボです。

でもズルいですよね。色々教えてくれて、でも最後は見せてくれないんだから。だから、高村も逃げられなくなったんですよ。割と既に沼にハマってたけど。

 

ショックを受けて、ゲーセンに居た事が学校にもバレて。2週間の停学措置を喰らって。でも親が責めずに「学校に行くまでにその理由を説明しなさい」と猶予を与えてくれる人であったのは良かった。

あとは、停学中にも電話かけてきた友人の仲君も愉快でしたね。野球に対して本気で、高村が違いを感じていた少年。

そんな仲君が伝えてきたのが「女にフラれた」なんだから笑えると言いますか。気落ちしてた高村が、浮上するきっかけになってくれた感じがして良い。

ふざけた話だけじゃなくて、『ゲーセンだろうと、同じ本気だ』と認めてくれたのも。

 

そこから本気でゲームに向き合い、残された課題を倒そうと本気を出すことにして。

こじれてしまった岩田との関係も、誤魔化そうと嘘を重ねた事を謝って、自分の本心をしっかりと伝えて行って。

もう彼は本気を出せるか迷っていた少年じゃないんだなぁ、とちょっと感慨深くなりましたね。