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「お嬢様は、それだけじゃなくて色々な分野で成果を出しているじゃないですか! 私は……お嬢様はすでに十分に頑張ってらっしゃるし、実際成果も出してると思います……!」

「うん、ありがとうアンナ……」

 

アジェット公爵家の末娘として育てられたリリアーヌ。

彼女の両親や兄弟姉妹はとても厳しい人達で、彼女がなにかしらの成果を挙げても、重箱の隅をつつくように「こうした方が良かった」「もっといい選択肢があった」と指摘するばかりで、褒めたり讃えたりする言葉をかけた事がなかった。

 

家族の本心としては優秀な娘、妹であるリリアーヌの才能は認めていて外部には「自慢の娘」だとアピールしていたようですけど。

その才能に増長してはならないと、自分だけは厳しい言葉をかけて諫めないといけないと全員が思ってしまったため、リリアーヌを誰も褒めないという最悪の状況が出来上がったそうで。

 

そんな状態で突如として光魔法の才能に目覚めた他家の娘が養女として迎えられる事が決まり……アジェット公爵家の人々は、その義妹であるニナの事は簡単に褒めていた。

それでも義務感からニナの面倒を見ていたリリア―ヌでしたが、ニナと一緒にトラブルに遭遇して、しばらく昏睡。目覚めた直後に、ニナの言い分ばかりを信じる様子を見せられて心が折れてしまった、と。

 

家出してリアナという冒険者として振る舞うことになったリリアーヌですが。

彼女は、一芸特化の家族に認められるだけの才能を、それぞれの分野で発揮していた万能型の天才だった。しかし、一度も家族に褒めてもらえなかった彼女の自己肯定感はマイナスに振り切っていて「私なんてまだまだです」と言うばかり。

読者目線で毒家族見せられるし、自身の功績を正しく見れない主人公を見続けることになるので、中々負荷かかる作品ではありますね。

どうかリアナとして振る舞うようになった彼女に幸せが訪れて欲しいと、願うばかりです。
公爵家の人やニナみたいな、リアナを傷つけた人々に報いがあって欲しいとも思ってしまいますが、まずはリアナの幸せだよ……。