「こんかい、は、雛菊たち、が、夏の、ふたり……たすける、番、と、雛菊、思い、ます」
春の事件において、前例のない春夏秋冬の同盟を結び良好な関係を築いた代行者たち。
その結果として、四季庁の内部に入り込んでいた不届き者もいくらか捕縛することが出来たようですけれど。
それはつまり、これまで季節を回すための機構のように使い潰されてきた代行者たちが、今の権力者に噛みついたとも見ることが出来て。
良く思わない勢力が工作をして、「夏がなってしまった双子神は凶兆である」という噂を流し、彼女達は窮地に立たされます。
家同士の関係などもあり、婚約破棄までされてしまってかなり心が折れていた。
あの様子を見ると、『老獪亀』と名付けられた保守派の打ってきた一手はあながち間違いでもなかったんですよね。
ただし、彼らは「これまでの積み重ね」を重視しすぎて、春の一件が代行者や護衛官に与えた影響を軽く見てしまったんですよね。
別の思惑も相まって瑠璃とあやめと連絡が取れなくなって、春も秋も冬も心配していますし。危険が迫っているかもしれないと助ける為に行動を開始しますし。
戦う覚悟の決まった代行者と、彼らを守る戦力が整っている集団を敵に回したいか問われて「ちょっと戦車とか欲しい」って竜胆が返すシーンが笑えて好きです。
葉桜姉妹の共依存な関係、好きでしたけど……家族が神様に選ばれてしまって、何の影響もなかったはずもなく。
色々抱え込んでいたあやめの内心がとても痛い。思わず一度逃げ出そうとしてしまったのも頷けるけど……その結果として、婚約者と出会って良い恋を出来たんだから運命的とか言いたくなりますね。
瑠璃も明るい子だけど馬鹿ではなく、彼女は彼女で抱え込みまくっていたよなぁ……と言うのが明らかになって。それでも、行動を起こせる強さがあるのが「夏」って感じだよなぁ、とか。
四季の現人神だけではなく、この世界では朝と夜を齎しているのも射手と呼ばれる神様の代行者で。黄昏の射手が登場して、そちら側の情報とかも出てきたのは設定開示回好きとしては嬉しかった。
代行者と護衛官の周囲はとても尊いですけど、その周囲には悪意が蔓延っていて、中々生きにくい世界ですけど、せっかくの縁で四季の同盟を組めたのですから、倦まず進んでほしいですねぇ、ホント。
今回でいうと、味方側ですけど残雪視点がなぁ。あそこで呪われてしまっただろう感が凄くて。血縁ではあれど、問題には関与してなかった人だけど逃げられなくなったんでしょうね……。アレ、何かのきっかけで暴走しかねないので怖くもありますけど。