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「本当にこれも君が教えたのか? 危ないと思うが」

「危ないことを全部遠ざけていたら守られるだけの女に育ってしまいます」

 

WEB既読。               

ハグル王国の工作員として育てられたクロエ。幼少期に親元から放され、専門の訓練を受けてエースにまで上り詰めた。

仕事がら家族に会うことは出来ないけれど、仕送りをすることだけは出来たから、自分の頑張りは無駄ではないと思えた。

 

しかしある時故郷を訪れてみたら……何年も前に、彼女の家族が死んでいたことが発覚。他の組織メンバーにも家族の訃報だけは知らされた筈なのに、自分は教えてもらえなかった。

その事から組織に不信感を抱いた彼女は、工作員生活からの逃走を決意。やめようと思って辞められる仕事ではないし、ただ逃げても追手が掛かる。

だから入念に準備して、2つ隣のアシュベリー王国まで渡り、ビクトリアと名を変えて生きていこうとした。

 

実際辿り着く所までは問題なくこなしたんですけど、到着した直後に親に捨てられた少女ノンナと出会ったり、ひったくりを捕まえたりとイベントがひっきりなしに発生。

でもひったくりを捕まえるのに協力した事で騎士団長との縁が出来て、異国人がいきなりノンナを引き取って育てたいと言いだした時に身元保証人を引き受けてくれたわけですから、結果的には良かったんですよね。

その後住む場所を探していましたけど、それもまたひったくりに遭遇した貴婦人との縁によって獲得したわけですし。

 

工作員のエースだっただけあってビクトリアのスペックは高く、偏屈な研究者の助手と言う仕事をしっかり見つけてますし、念願の日常を満喫してるんですよね。

保護する事になったノンナや騎士団長、家主や仕事先の人々との関係も良好ですし、安心して読めます。

そうやって情が移って行動が鈍りそうなタイミングで、工作員としての過去が追い付いてきて、逃げる選択を取る羽目になるんですから、中々上手くいきませんね。

 

でも、積み重ねた時間は決して無駄ではなくて、良い決着を迎えてくれます。1冊でまとまってるので、気になった方はぜひ。

ちなみにWEBには本編から数年後のエピソードを描いた「ビクトリア2」が掲載されてるので、人気出たようだったらそちらの書籍化にもつながると、個人的には嬉しいですねー。